※敬称略。南部氏、中村氏は米国籍、カズオ・イシグロ氏は英国籍。今年の受賞決定者も含む 

2018年のノーベル医学生理学賞は、体内で異物を攻撃する免疫反応にブレーキをかけるタンパク質を突き止め、がんの免疫治療薬開発に道を開いた本庶佑(ほんじょたすく)・京都大学特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授(70)に授与される。平和賞は、性暴力と闘い被害女性の治療に尽力したコンゴ(旧ザイール)の産婦人科医デニ・ムクウェゲ氏(63)と、過激派組織「イスラム国」(IS)に性奴隷として拘束されたが生還し、性暴力根絶を訴える活動を続けるイラク人女性ナディア・ムラド氏(25)の2人に授与される。

物理学賞は、光を使って物体を操作する技術を開発し、ウイルスのような小さな物をつまむ「光ピンセット」やレーザーによる視力開発手術につながった米国、フランス、カナダの3氏に。化学賞は、生物の進化の仕組みをまねてタンパク質を作るなどして医薬品やバイオ燃料の製造技術を開発した米英の3氏に。経済学賞は、気候変動や技術革新を経済分析に組み入れた米国の2氏にそれぞれ授与される。

村上春樹氏の受賞が毎年注目されていた文学賞は、選考主体のスウェーデン・アカデミー関係者による性的暴行事件のスキャンダルで今年の発表が見送られた。文学賞の受賞者が決まらないのは1949年以来のことだった。

授賞式は12月10日。平和賞はノルウェーのオスロで、ほかの賞はスウェーデンのストックホルムで行われ、各賞の受賞者には賞金900万スウェーデンクローナ(約1億円)が贈られる(共同受賞の場合は分割)。

日本出身の受賞者は、米国籍の受賞者や2017年に文学賞を授与された長崎県出身の英国人作家カズオ・イシグロ氏を含めると27人になる。