日本ハムの「スケールの大きな野球スタイルが好き」と話す野村。持ち味の強打で主砲としての期待が大きい

野村佑希(埼玉・花咲徳栄3年)は、2年生から2年連続で甲子園出場を果たした。どの方向にも打てるという長打力が武器だ。10月25日のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから2位指名を受け、新たな舞台に飛び込む。 (文・写真 小野哲史)

主将で主砲でエース

埼玉県勢として初めて夏の甲子園を制した昨年、2年生ながら4番を任され、打率5割2分、2本塁打と大活躍。「一生の財産になった」と振り返る。

主砲に加え、今年度は主将、そしてエースの役割まで加わった。「周りを見なければいけないし、投手の練習もある。打者として結果も残さないといけない。前回優勝という重圧もあって苦しいことが多かった」

それでもチームとして4年連続で夏の甲子園出場を決めた。全国連覇こそ果たせなかったものの、大黒柱として奮闘し、一回り大きく成長した。

「我慢すべきところで我慢し、責任感を持てるようになった。だいぶ自立できたと思う」

地道なトレーニングで頭角

野村の魅力は、恵まれた体格を生かしたパワフルな打撃だ。甲子園での4本を含め、高校通算58本塁打を放った。自身は「昔から当たれば飛ぶタイプだったが、高校で対応力が向上した」と感じている。1年生の冬季から「両足を広げて体重移動を意識してバットを振り込んだ。トスバッティングも左右に投げ分けてもらったり、少し遠くから投げてもらったりして、芯にボールを当てることにこだわった」という成果だろう。

まだ基礎体力がなかった1年次には、先輩から「弱かったら人より多くやらなければ駄目だ」と言われ、朝や全体練習後の地道なトレーニングで鍛え上げた。「ただ飛ばすだけでなく、打率、打点、飛距離がそろわないといけない」という岩井隆監督の指導も仰ぎながら、2年生の春からめきめきと頭角を現した。

球界代表する強打者に

実績はやがて自信になった。夢だったプロ野球選手を少しずつ現実的な目標と考えるようになったという。

「ずっと4番をやってきたし、自分の持ち味はどの方向にも打てる長打」と言うように、「4番」に対する思い入れは強い。プロ野球という未知なる世界に進むことが決まったが、目指す選手像はすでにはっきりと見えている。「いつでも長打を打てる、球界を代表する強打者になりたい」

Q&A 試合前は瞑想

Q 好きな食べ物、音楽や本(漫画)はある?

A ポン酢で食べる鍋料理が好きで、リクエストできるときは夏でも食べています。音楽は登下校中に湘南乃風をよく聴いています。漫画でハマっているのは、バレーボール漫画の「ハイキュー‼」です。

Q 試合前に緊張しないようにやっていることはある?

A 緊張はそれほどしませんが、試合に入る前に、チームで瞑想(めいそう)して集中する時間を設けています。自分の一番調子がいい姿をイメージして、頭を整理してから試合に臨むようにしています。

Q 好きな言葉、座右の銘はある?

A 「進化」です。これまでも良い結果が出ても新しいことに挑戦してきましたし、岩井先生からもいつも「停滞は危ない」と言われています。これからも常に進化し続けて、できることを増やしていきたいです。

のむら・ゆうき 2000年6月26日、米ミシガン州生まれ。伊勢崎・境西中卒。小学2年で野球を始め、中学時代は群馬県の太田市シニアに所属。右投右打。憧れの選手は大田泰示(北海道日本ハムファイターズ)。内外野で複数のポジションをこなす。投手としても最速146キロの速球や数種類の変化球を持つが、今後は野手に専念するという。185センチ、90キロ。