国が進める大学入試改革により、2021年1月から新たな共通試験「大学入学共通テスト」(新テスト)が始まる。改革の焦点の一つが英語の出題。今回はまずマーク式の試験がどう変わるのかを解説する。

Q 英語の入試に民間試験が入ると聞いたけど?

A 2021年度入試(2020年度に実施)から、民間の資格・検定試験の成績を大学入試センターが取りまとめて大学に提供する仕組みがつくられる。文部科学省は「読む・書く・聞く・話すの英語4技能をバランスよく評価したい」とその目的を話す。

民間試験の導入に伴い、文部科学省はセンター試験で実施しているようなマーク式の共通試験(筆記とリスニング)をとりやめることを検討したが、大学や高校から存続を求める声が多く出て、少なくとも24年度入試(23年度に実施)までは大学入学共通テストの他の科目と同様に英語の試験も続くことになった。マーク式の共通試験も民間の資格・検定試験も入試にどう活用するかは、基本的には各大学が判断することになる。

2018年2月に実施さえた大学入学共通テスト試行調査の英語の問題

Q マーク式の試験問題は変わるの?

A 18年2月に大学入試センターが実施した英語の試行調査(プレテスト)の問題をみると、センター試験の英語の問題とは様変わりしている。筆記試験(80分)、聞き取り試験(30分)ともマーク式で答えることは変わらないが、出題内容が実際に英語を使う状況に近い場面設定を重視したものになった。筆記試験では、遊園地の混雑予想に関するウェブサイトを読ませて内容を理解できているかを尋ねたり、飲食店の口コミ投稿サイトを読ませて事実と投稿者の意見の区別できているかを聞く出題があった。授業で発表をするための準備をする設定の問題もあった。

一方、センター試験で出題されてきた発音・アクセント・英文を完成させるための語句整序などを選択式で問う設問は姿を消している。大学入試センターの幹部は「発音問題などには『受験英語を助長する』という批判が専門家からある」と話し、本番でも発音問題などの出題をなくしたい考えをにじませている。

2018年2月に実施された大学入学共通テスト試行調査の英語の問題

Q 聞き取り試験はどう変わるの?

聞き取り試験でも、日常生活や大学の講義といった場面設定がされた。英語の読み上げ方法も変えた。センター試験の読み上げはアメリカ英語のみだが、試行調査ではイギリス人による英語や、日本人など英語を母語としない人による読み上げもあった。また、センター試験では、問題音声が2回読み上げられているが、一部の問題は1回しか読み上げなかった。

Q 配点は変わるの?

センター試験の英語の配点は筆記試験が200点、聞き取り試験が50点だが、大学入試センターでは、「英語教育改革で各技能をバランスよく評価することが求められている」として、新テストの筆記と聞き取りの配点を同じにすることを検討している。実現すると大きくウエートが変わることになる。

Q 勉強方法も変わりそうだね。

問題構成や配点の変更について、大学入試センターでは18年11月に実施する2度目の試行調査で本番を想定した出題を市、その結果を検証したうえで方針を決める考えだ。18年度中には実際にどれだけ変わるかが明らかになるとみられている。

Q マーク式の試験はずっと続くの?

文部科学省は、24年度入試(23年度に実施)までは共通テストでの英語の出題を続け、その後は民間の資格・検定試験の利用に一本化したい考えだが、高校や大学の側は長年の実績がある大学入試センターが出題する英語のテストを続けてほしいという声が強い。民間の資格・検定試験を共通テストのかわりにすることへの不安も大学・高校双方にある。25年度入試以降がどうなるかは、これからの検討になりそうだ。