9月6日未明、北海道で震度7を記録する地震が発生。各地で土砂崩れや家屋の倒壊が相次ぎ、多数の死傷者が出た。国内で震度7が観測されたのは2016年の熊本地震以来で6回目。この地震で道内の火力発電所が全て停止したため、道内全約295万戸が停電した。1995年の阪神大震災の約260万戸を超える規模で、国内初の全域停電(ブラックアウト)となった。

需給のバランス崩れる

電気は家庭や工場などで使う量(需要)と、発電所が送る量(供給)が均衡している必要がある。どこかの発電所が停止すると均衡が崩れて周波数が低下、それを補うために他の発電所がフル稼働するが限界がある。

北海道電力は、市民生活に影響の少ない部分を停電させて均衡を回復させようとしたがうまくいかなかった。

地震によって震源近くにある道内最大の火力、苫東厚真(とまとうあつま)発電所の2、4号機が停止、1号機も出力が低下した。北海道電力は2回の強制停電で電力需要を減らしたが、送電線の故障で水力発電も停止、3回目の強制停電でも需要を減らしきれず、電力の需要と供給のバランスが崩れて周波数が低下し、動いていた火力なども一斉に停止してブラックアウトに陥ったとみられる。

 
 

 

停電時の注意点は

停電時は信号機が停止し、ビルやマンションではエレベーターや自動ドア、オートロックが動かなくなる。防犯システムやガス漏れ警報器なども作動しない。暖房や調理のために室内で練炭や炭を使う際は、換気などに十分に注意しなければならない。また、固定電話や光回線を使うIP電話は基本的に使用できなくなる。

停電が復旧したときの火災防止のために、アイロンやドライヤーなど電熱器具のプラグをコンセントから抜いておくなどの注意も必要になる。

【memo】周波数 発電所から家庭に送られる電気は、変圧がしやすく長距離の送電に利点がある交流電気が使われる。交流電気はプラスとマイナスの間を往復し、この往復する回数を周波数といい、ヘルツで表す。東日本は50ヘルツだが、これは1秒間に50回、波が行ったり来たりするという意味だ。