歴代最長になる可能性

自民党総裁選は9月20日、国会議員票と党員・党友による地方票が開票され、安倍晋三首相(64)が石破茂元幹事長(61)を破り、連続3選を決めた。総裁任期は2021年9月までの3年間。安倍氏は19年11月まで首相を続ければ、通算首相在籍日数が歴代トップの桂太郎に並ぶ。

総裁選、地方票が伸びず

安倍氏は国会議員票329票、地方票224票の計553票を獲得、石破氏は国会議員票73票、地方票181票の計254票と事前の予想を大きく上回る得票だった。

 

選挙戦で安倍氏は第2次政権発足から約5年9カ月間の経済や外交の実績を強調、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を唱え、秋の臨時国会への党改憲案提出を目標に掲げた。一方の石破氏は、地域経済の潜在力を引き出す地方創生を打ち出し、アベノミクスの見直しや、森友・加計学園問題を踏まえ「首相官邸の信頼回復」を訴えた。

安倍氏は獲得票では倍以上の大差をつけたが、地方票が伸び悩み、国会議員票も陣営の読みを下回り、隠れて石破氏に投票する議員が一定程度いたことをうかがわせる。地方票が伸び悩んだ背景には、アベノミクスの効果が地方に及んでいないことへの不満や、森友・加計学園問題をめぐり根強い批判を受ける安倍氏が「選挙の顔」を続けることへの不安があったとされる。

来年は消費税10%に

長期政権を視野に入れる安倍首相だが、難題が待ち受ける。19年10月の消費税率10%への引き上げを控え、景気対策と財政健全化の両立を果たせるのか。地震や豪雨など大規模災害が頻発しており、防災も喫緊の課題だ。被災地支援や復旧復興への対応に加え、国の体制見直しも焦点になる。

外交・安全保障でも課題は山積。北朝鮮による日本人拉致問題は解決の糸口がなく、ロシアとの北方領土交渉も膠着(こうちゃく)が続く。また、エネルギー問題では、原発再稼働を進める姿勢だが、再稼働に慎重な自治体も増えつつあり、停滞も予想される。