SSH生徒研究発表会で審査委員長賞に選ばれた石牟礼さん

日の出前や日没後に太陽と反対側の空を見ると、地平線上に暗い青い部分が見えることがある。横浜サイエンスフロンティア高校(神奈川)の石牟礼碧衣(いしむれあおい)さん(3年)は「あれは地球の影だ」と父から聞き、地球影と呼ばれるこの現象に関心を持った。

地球影は太陽が地平線のすぐ下にある時、地球にさえぎられた部分が大気に投影されて見えると考えられている。また、地球影の上にはビーナスベルト(VB)と呼ばれるピンク色の帯が見られ、夕焼けと同様に大気で散乱して赤くなった太陽光が高度約12~50キロの大気を照らしていると考えられている。しかし、地球影が本当に地球の影であるのかを調べたモデル計算や再現実験などの事例がなく、自分で解明することにした。

光の当たり具合を計算

まずは日没時や日の出時の空の様子を撮影した写真から、赤、緑、青の強さを画像解析ソフトで解析し、赤色の減少が止まるのはVBと地球影の境目付近であることを確認した。また、任意の仰角、方位角、地表からの大気高度に設定した1214の計算点ごとに光の当たり具合を計算し、地球影は光が当たっていない影であり、高度約4キロの大気に投影されているとの結論を導き出した。

石牟礼さんは「計算モデルを考えるのに苦労した」と振り返る。太陽光を立体ではなく面で捉えるなど工夫した。今回の研究ではVBは太陽光が高度約4キロ以下の大気を照らすことで観測されると推測したが、この値はこれまで言われてきた高度よりかなり低いため、新たな手法を考案し、より正確な高度を推定するつもりだ。

「気になる」がモチベーション

研究の面白さを「晴れている時は見えるのに、今まで誰も気に留めなかったことをつかむことができること」と話す。「『気になる』『知りたい』が研究のモチベーション。それが自然科学だと思う」と力を込めた。 (文・写真 木和田志乃)