部活動や委員会、文化祭準備に体育祭。チームや組織をまとめる上での悩みについて、専門家の長尾彰さんにアドバイスを送ってもらった。(安永美穂)

 
長尾彰さん
ながお・あきら 組織開発ファシリテーターとして、企業、団体、教育、スポーツの現場などで、約20年にわたり3000回を超える「チームづくり」のサポートを行っている。
 

Q.やる気がないメンバーがいるとき、どうすれば良い方向に導けますか?

A.やる気「1割増し」の声かけを目指そう!

いきなり「今の2倍、頑張って!」と言われても、多くの人は「そんなの無理だよ」と思います。なので、今の状態が「1」だとしたら、それよりも1割増しの「1.1」を目指す声かけをしていきましょう。

つらい練習の後、「だりぃな」と言う人ばかりだと、やる気がしぼんで1割減の「0.9」の頑張りしかできなくなってしまうかもしれません。でも、「疲れたけど、あとちょっとだけ頑張ろう」と言う人がいると、個々のメンバーが「1.1」の力を出せるようになり、チーム全体でも大きな力を発揮できるようになります。毎日を「0.9」の状態で過ごすと1カ月(30日)後には約0.042になってしまうのに対して、「1.1」で過ごせば約17になり、実に約405倍もの差がつきます。

やる気の出ない「0.9」の状態になりかけたときは、心の中で「それはちょうどいい」とつぶやいて、起きたことの見方を変えてみましょう。「先輩からダメ出しをされた。それはちょうどいい。同じ学年のメンバーと相談して、もっといいやり方を考えよう」というように、「それはちょうどいい」の後に「~をしよう」と付け加えると、今の状況を一旦受け入れた上で前向きな気持ちになれますよ。

 
【長尾さんの本をチェック】
 宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。
(学研プラス、税抜き1400円)
 人気漫画「宇宙兄弟」を題材として、リーダーシップの在り方や、チームで成果を出すために大切なことを解説。