第42回全国高校総合文化祭(2018信州総文祭)の吹奏楽部門が8月9・10日、キッセイ文化ホール(松本市)で開かれた。瀬戸内高校(広島)吹奏楽部は、広島カープの応援歌など2曲を披露。演奏で会場を広島カラーに染めた。(文・写真 野村麻里子)

パートの人数足りず葛藤 交響曲に挑戦

披露したのは、交響曲第1番「アークエンジェルズ」と、広島メドレー。1曲目の「アークエンジェルズ」は、4人の天使が題材になって4つの楽章を構成している。部長で打楽器担当の山路夏佑(なゆ)さん(3年)は、「吹き分けるのが大変だった」という。「部員が65人と多くなったので、音の厚みが生かせる交響曲に挑戦しました」
 挑戦するには、人数が足りないパートがあり、曲を変えるかどうか悩んだ時があった。「そのパートに移動する部員を決めなければなりませんでした。ずっとやってきているパートから別のパートに移動するのは不安が大きいみたいで……。それでも(移動した部員は)『この曲はかっこいい!(移動したパートの)この楽器を頑張ろう』と思ってくれて」。葛藤しながら作り上げた、思い入れのある曲になった。

瀬戸内高校吹奏楽部の部員たち

広島カープのユニフォームで旗振るパフォーマンス

2曲目は 今年5月に亡くなった広島出身の西城秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」と、カープの2曲をメドレーにして演奏した。
 「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」では、西城さんに扮した部員とダンサーがサビの「YMCA」で振り付けをして盛り上げた。観客も一緒に腕でアルファベットを作っていた。「広島が誇るスターの西城秀樹さんにいつまでもスターでいてほしいという思いを込めました」(山路さん)

西城さんに扮してパフォーマンス


 「それいけカープ」では、広島カープのユニフォームを着た部員が、「カープ坊や」の旗を華麗に振ってパフォーマンス。球団からは「全国の舞台とのこと、ぜひ使って!」と公認を得たという。カープファンと思われる観客が歓声を上げて赤いタオルを掲げる様子も見られた。

カープ坊やの旗を翻す部員たち

豪雨災害の混乱に負けず力合わせて

豪雨災害では、学校は被害を受けなかったものの、部員の中には被災した部員も。「ケアをしながら、総文祭の練習もしなければならない…混乱の中、大変でしたがみんな力を合わせて頑張れました」
 「みんなで音楽を作り上げる」のが部の特徴だ。顧問の先生の指導を受けるのみにとどまらず、「ここはもっと(音を)出したい」など部員同士での話し合いを大切にしている。
「ごちゃ混ぜ合奏」という練習方法も行い、合奏の際に席替えをする。「同じフレーズを吹いているほかのパートの音がしっかり聞こえてきます。通常の合奏に戻った時に意識することができるようになります」 

部長の山路さん