8月1日から7日にかけて、愛知県の一宮市総合体育館などで開催された全国高校総体(インターハイ)バスケットボール男子。7日の決勝は、開志国際(新潟)が中部大第一(愛知)を66-55で破り、創部5年目で初優勝を飾った。(文・写真 青木美帆)

チームの精神的な柱として活躍した小栗

昨年は県決勝で敗退、悔しさバネに

決勝終了後の開志国際の選手たちは、意外にも穏やかに初めての全国制覇を喜んだ。なにせ、初めての全国制覇。喜び方にも慣れが必要なのかもしれないとキャプテンの小栗瑛哉(3年)に向けると「そうかもしれません」と笑った。

2014年に創部した開志国際が全国大会に出場するのは2016年のインターハイ以来2回目。それ以外は県内のライバルに行く手を阻まれている。

世代別日本代表の好選手をエースとして擁した昨年のチームは、全国でも上位に進めるような力量を持っていたが、インターハイ、ウインターカップともに県予選決勝で敗退。小栗と共にキャプテンをつとめる小池文哉(3年)は当時を「3年生を支えることができなかったのが一番つらかった」と振り返り、その悔しさをもってチームを作り上げてきた。

メンバーに指示を与える小池
決勝でチーム最多の18得点を稼いだ和田

下級生の健闘に3年生が奮起

大エースが抜けた今年のテーマは「全員」。試合に出場する選手がそれぞれ10点とり、キャプテンだけでなくてもリーダーシップをとれるようになることを目標としてきた。

今大会は点数だけを見れば余裕のある内容で勝ち進んでいるが、下位回戦では何度かのピンチに遭遇している。それを救ったのはジョーンズ大翔(1年)やジョフ・ユセフ(2年)ら下級生。3年生たちは準決勝の前日にミーティングを行い、「準決勝、決勝は自分たち3年生がやってやろう」と気持ちを統一した。

この2試合は特に、それまで存在感を発揮できなかった和田蓮太郎(3年)が「チームの足を引っ張ってきた迷惑はこの2試合でしか返せない」と奮起し、勝利に大きく貢献。小池は「やってくれてよかった」と同級生の活躍を喜んだ。

決勝に進出したことで、開志国際は初めてウインターカップの出場権を手に入れた。今大会は国際大会と日程が重なった影響で、主力が欠けるチームが続出。幸い、誰もメンバーが欠けることのなかった開志国際の選手たちもそのことをしっかりと理解している。小栗は「王者だけどチャレンジャーという気持ちを忘れずに戦いたい」と冬の抱負を語った。

創部5年目で全国制覇を達成した開志国際