チーム名は「スペースチャレンジャー」。NASAの教育基金がきっかけで活動を始めたのが名前の由来

88カ国の小中高校生(9~16歳)が参加する世界最大規模の国際ロボット競技大会「ファースト・レゴ・リーグ(FLL)」世界大会が5月、米カリフォルニア州で開かれた。頂点に立ったのは、2年連続出場を果たした追手門学院大手前中・高校(大阪)ロボットサイエンス部の9人(高校生3人、中学生6人)だ。

大会は、米国の非営利団体とデンマークのブロック玩具メーカー「レゴ」の共催。レゴブロックで作ったロボットでミッションの攻略を目指す競技と、英語でのプレゼンテーションの合計得点で競われる。

ロボット競技は、2畳ほどのコートに設置された20個の課題を、制限時間内にクリアできるかを競う。同部は、1度の移動で「交換する」「持ち運ぶ」などのミッションを効率よく実行できるようにロボットを開発した。

プレゼンは研究、ロボットデザイン、チーム紹介の3分野で行われた。研究分野では今大会のテーマ「水循環」に沿って、納豆菌を使った水質浄化剤の製作について発表した。

下水処理場の水質浄化にバクテリアが利用されていることを知り、「発展途上国の飲料水不足を解消したい」(岩田美灯(はるひ)さん、2年)と文献などを調べ納豆のねばねばに含まれる成分に着目。100回以上の実験から作り出した粉末が水質改善に役立つことを突き止めた。

チーム紹介では自分たちを野球チームに例え、プログラミングやプレゼンなどの得意分野を生かして役割分担したことを芝居仕立てでアピールした。結果、プレゼンは3分野とも最終審査に残り、ロボット競技で5位だったことから総合優勝を果たした。

国内予選にエントリーした昨年8月末、メンバーには自主的に取り組む姿勢が見られなかったという。そのため、チームリーダーの多田遥香さん(2年)は「やることリスト」を発案。メンバーは毎日活動前に記入し、活動の終わりにはプレゼンテーション対策も兼ねて英語でミーティングし課題を共有した。するとメンバーは活発に意見を交わすようになり、時には激しくぶつかることもあった。

チームリーダーの多田遥香さん(高校2年)は「この9人で出られたことに感謝」と涙を見せていた。

高校生メンバーの3人。ぶつかり合いながらも絆を深め合ってきた
【部活データ】ロボットサイエンス部

部員数54人(1年6人、2年5人、3年1人、中学生42人)

小学生向けのロボットセミナーを年10回程度開催。ロボカップジュニア全国大会出場、WRO国際大会3位など