セクハラ行為を告発する「#MeToo」の動きが各国、各界に広がっている。「私も」を意味するツイッターのハッシュタグ(検索目印)がムーブメントの象徴だ。昨年10月、米映画界の大物プロデューサーによるセクハラ問題を女優らが告発したことから広まった。

告発の旗振り役も告発される

海外では映画界だけでなく、政界、官界、スポーツ界、さらにはノーベル賞にも波及した。

米国ではセクハラ問題の発端となった大物プロデューサーを提訴するなど「#MeToo」の旗振り役の一人とされたニューヨーク州の司法長官自身が女性への暴行疑惑が報じられ辞任、韓国では有力知事やノーベル文学賞候補の詩人も告発された。

ノーベル文学賞は見送りに

米国の報道界で最も権威がある今年のピュリツァー賞にはセクハラ疑惑を追及した新聞・雑誌が選ばれたが、選考側の同賞委員長が「不適切な行為」を指摘され辞任。ノーベル文学賞を決めるスウェーデン・アカデミーもメンバーの夫が告発された影響で、今年の文学賞発表を来年に持ち越す異例の事態となった。

 

法律上の規定ない日本

日本でもセクハラ行為が告発された財務事務次官が辞任したが、その問題をめぐる麻生太郎財務相の対応が批判を集めた。わいせつ行為やセクハラで処分された公立小中高校の教員は2016年度に226人と過去最多を更新、懲戒免職も129人で最多だった。

男女雇用機会均等法は事業主に職場でのセクハラ防止対策を義務付けているが、英国や台湾などのように行為そのものを禁止する法律上の規定はない。フランスは刑法にセクハラ罪を規定している。

性被害は「魂の殺人」ともいわれ、ハラスメント対策は国際的な緊急課題となっている。そんな中で、日本は対応が遅れているとの厳しい指摘もある。