不正利用受けCEO謝罪

米交流サイト大手フェイスブック(FB)会員の個人情報が大量に不正利用された問題は、少数の企業が膨大な個人情報を独占することの危険性を浮き彫りにした。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は米議会の公聴会で、利用者の個人情報保護の不備を認めて謝罪した。

発端は性格診断アプリ

英国の研究者が開発した性格診断のアプリを約30万人が利用し、研究者は利用者の友人を含め数千万人の個人情報にアクセスできるようになった。研究者は英政治コンサルティング会社とこの情報を共有、同社は16年の米大統領選で情報を不正利用してトランプ陣営を支援したとされる。

不正利用された個人情報は最大8700万人分。この中には、欧州連合(EU)域内で最大270万人分、日本でも最大10万人分が流出した可能性があるという。

無料で使える危うさ

FBは、大量の情報を共有し影響力のあるインフラになっているにもかかわらず、利用者の個人情報を守る体制が不十分だったことが問題視された。このため、ザッカーバーグ氏は、外部業者による個人情報へのアクセスを制限するなど、情報の管理方法を見直している。

しかし、広告収入が収益のほとんどを占め、無料の利用者の個人情報を活用した事業モデルの危うさが露呈した形で、利用者も慎重にならざるを得ないだろう。

【memo】フェイスブック ハーバード大の学生だったザッカーバーグ氏らが2004年に設立。原則実名で登録し、友人同士で近況や写真、動画などの情報を共有する。月間利用者数は21億人超に上る。