文部科学省は6月4日、2019年度大学入試の方針やルールを盛り込んだ実施要項を決め、各大学などに通知した。今年、入試ミスが相次いで発覚したことを受け、解答の公表やミス防止の取り組みの強化を求めた。

文部科学省が決めた2019年度の大学入試実施要項。解答の「原則公表」を求めた

受験勉強をしやすくする狙いも

大学入試の実施要項では、これまで「解答例や出題の意図等を明らかにするよう努める」と定められていた。だが、今年初め、1年前の京都大や大阪大の入試などで出題ミスがあり合格するはずの受験生を不合格としていたミスなどが相次いで発覚したことを受け、新たな実施要項では、「解答については、原則として公表するものとする」と強い表現で公表を求めた。大学が解答を公表することで、受験勉強をしやすくするほか、ミスがあった場合に発覚しやすくする狙いもある。記述式問題など一つの解答が定まらない問題については、「出題の意図」や「標準的な解答例」「複数の解答例」などを公表することを求めた。

受験生への「丁寧な対応」も求める

実施要項ではこのほか、「外部から入学者選抜におけるミスに係る指摘等があった場合には、速やかに作題者以外の者も含めて組織的な体制で検証を実施する」ことや、「ミスが生じた場合には、受験者に丁寧に対応する」ことなども盛り込んだ。大阪大などに外部からミスの指摘があったにもかかわらず、大学側が組織的に対応せずにミス発覚が遅れたことなどをふまえた。

東大、解答以外の公表を検討 早大「各学部と相談」

入試問題の解答は、これまで公開していない大学が少なくない。東京大は未公表だが、福田裕穂・入試担当理事が2月に「全くやるつもりはない」と言明。東大は解答を導く方法を記述させる問題が多く、解答例を公表することで受験生に「1つだけが解答と捉えられてしまうことを非常に恐れている」と話していた。一方で、「受験生目線」に立って解答例以外の情報を公開することを検討する方針も明らかにしていた。早稲田大も未公表だが長島啓記入学センター長が6月7日、「各学部と相談している」と現状では未定であることを明らかにした。