昨年のインターハイで1600㍍リレーで2位に入った荘司晃佑君(左)と浮貝雅希君(ともに3年)

成田高校陸上競技部は、これまでに多くの五輪選手を輩出し、全国高校総体(インターハイ)でも多数の優勝者を生んできた。県内の陸上好きが集まり、高い意識を持ちながら楽しく練習に励んでいる。(文・写真 小野哲史)

県内中学生の憧れ

県内の有力な中学生の多くは、同部の白と赤のユニホームに憧れて入部し、以降も活躍することで名門校としての伝統を守り続けている。男子主将で短距離の主力・山本悠太君(3年)もその一人。「試合で地方に行っても『成田高校だね、頑張って』と声を掛けてもらえる。それだけ注目していただいているチームなんだと感じる」

もちろん、中学時代に実績があるからといって、高校でもそのまま活躍できるわけではない。女子主将の梅原遥奈さん(3年)が「先生方が個人個人の特徴を生かせるような指導をしてくださる」と話すように、就任7年目を迎えた中原浩一監督らの細やかな指導が選手の能力を最大限に引き出す。「卒業された先輩たちが、よく練習に来てアドバイスをくれる」(山本君)ことや、全天候型の専用競技場があるという環境面の充実も大きいだろう。

仲間同士、指摘し合う

中原監督には「陸上競技の好きな子が集まって、みんなで元気で楽しく練習してほしい」という思いが、選手強化以前の前提としてある。インターハイでの活躍は最大の目標ではあるが、競技に精いっぱい取り組んだ末の結果にすぎない。選手にもその思いが浸透しているからこそ、自主性が自然と育まれていく。「種目練習では、楽しい気持ちを忘れないことを意識しています。先輩後輩の関係なく、同じ種目の仲間で指摘し合ったり、ビデオやノートを活用したりしています」(梅原さん)

梅原遥奈さんは中学時代、走り高跳びで全国中学校大会優勝。高校最後のシーズンは再び日本一を目指す

休むことも練習のうち

ただ、強豪校とはいえ、日常的な練習量が特別多いということはない。山本君は「休むことも練習のうち。試合前の木曜日には各自でマッサージし合ったりしています」と話す。

そうした高い意識を持ちながら、「インターハイで短距離2種目とリレーを合わせて4冠を達成したい」という山本君のように、一人一人が各自の目標に向かっている。チームとしては、男子がインターハイでの史上最多となる8度目の学校対抗優勝を、女子は一人でも多くの選手がインターハイに出場することを目標に掲げる。

伝統校の誇りを胸に、同部は今年度、高校陸上界の主役に躍り出るつもりだ。

大所帯だが、ウオーミングアップや動き作りは全員で行っており、チームワークは抜群
部活データ
部員80人(3年生35人、2年生24人、1年生21人)。週6日練習(平日は約3時間、土曜日は半日から終日)。インターハイでは男子学校対抗優勝7回。昨年度は男子10人、女子15人が出場した。主な卒業生にアテネ五輪ハンマー投げ金メダリストの室伏広治ら。部訓は「夢を力に…」。