大学入試センターは3月26日、2020年度(21年1月)からセンター試験に替えて導入する大学入学共通テスト(新テスト)の試行調査(プレテスト)の結果を発表した。新たに出題する記述式解答を求める問題では、正答率が1%に満たなかった設問もあり、センターでは「適切な難易度を十分に考慮した作問が行う必要がある」などと分析している。

昨年11月に高校1889校で国語、数学など6教科11科目の試行調査を実施。高校2・3年生16万2325人が受けた。センターは、12月にマーク式の採点結果の速報値を明らかにしていたが、今回記述式も含む最終的な採点結果を発表した。

大学入学共通テスト試行調査の国語の記述式問題(一部)

新テストでは、国語と数学に記述式で解答する問題を取り入れた。試行調査の国語では、生徒会の部活動規約と、規約をめぐる生徒たちと先生の会話文、関連した表やグラフを素材にした大問を出題し、記述式の小問3問(50字以内、25字以内、80~120字)に答えさせた。

採点にあたってセンターは、小問ごとに字数制限を満たしているかなど形式面のチェックポイントや、解答に盛り込むべき内容を3~4項目の「正答の条件」として示し、民間業者のスタッフに採点してもらった。すると、正答の条件をすべて満たしたのは、問1(解答字数50字以内)が43.7%、問2(同25字以内)が73.5%、問3(同80~120字)が0.7%だった。何も記述しない無解答者は3問とも1割未満だった。

大学入学共通テスト試行調査の国語の記述式問題(一部)と正答例

数学でも記述式で解答する小問を3問出題。正答率は2.0%、4.7%、8.4%と、3問とも1割に満たなかった。一方、無回答率は49.8%、57.0%、46.5%に上った。

センターの大杉住子審議役は「今回の記述式問題は、解答に必要な条件の設定としてどの程度までの複雑さが可能かをぎりぎりまで検証しようとした。作問に有益な検証ができた」としつつ「(国語の問3の)正答率が1割にも満たないのは(受験者の学力の)識別力などの点から課題がある。次回の試行調査は3~4割程度の正答率を目指したい」と話す。数学についても「記述式問題の適切な難易度を十分に考慮した作問を行う必要がある。(無解答率が高いことについて)頑張ってみようという意欲をかきたてる問題を作りたい」と言う。

大学入学共通テスト試行調査の数学の記述式問題(一部)と正答例

試行調査は、本番の問題の難易度や構成を検討するためのもので、本番の問題構成などに受け継がれるとは限らない。センターによると、現行のセンター試験で出題されていないタイプの問題に重点をおいて出題したという。次回の試行調査は、今年秋に大学を会場にして実施される予定。