新体育着と井澤大樹君。「学校愛の強さを原動力に達成までこぎつけた」という

「汚れが落ちない」「ダサい」――。生徒から不評の体育着を変えるため、東京・城北高校の生徒会長・井澤大樹君(2年)が立ち上がった。先生たちと交渉し、約1年間で新しいデザインの体育着が完成。来春から使われ始める。

「良い学校にしたい」一心で

現在の体育着は、30年以上前から変わらない伝統のデザイン。上下とも白いため汚れが目立ちやすい、ズボンの丈が短いため下着が見えたり色が透けたりする、などの理由から生徒の評判が悪かった。

井澤君は併設中学の3年生の終わりごろから「自分の手で変えたい」と思い立ち、体育着のデザインを変えた経験がある他校の生徒に話を聞きに行った。「変えるのに最短でも3年はかかると聞き、(生徒会長になってから)活動しても僕の在学中に達成できないの
では……と、ショックを受けました」

それでも「より良い学校にしたい」という一心で諦めなかった。生徒会長選挙の立候補前から体育科教員に相談して好感触を得ると、公約の一つに「体育着を変えること」を掲げて立候補した。

デザインに生徒の声反映

当選してから校長に直談判し許諾を得ると、3日に1回は体育科教員のもとを訪れ、密に話し合いを重ねた。

全校生徒に2回アンケートをとり、要望をまとめた。以前はペンで胸の辺りに名前を直接書いていたが、袖への刺しゅうに変更。ズボンの丈は長くなり、紺色の生地に差し色として学年色が入る。乾きやすい生地を採用した。

上下白の旧体育着。JOHOKUの文字の下にペンで大きく名前を書いていた

今年4月から新デザインの体育着が使われる。「これまでの伝統を残しつつ、要望を取り入れていきました。(完成したデザインを見て)いいね、と(生徒から)声が上がりうれしい」

(文・写真 野村麻里子)