「何年も英語を勉強しても話せない、使えない」と学校の授業で不満に思うこともあるのではないだろうか。英語教育のどこに問題があると感じているか、どんな授業をしてほしいか、高校生記者に聞いた。

 

授業にディベートを取り入れてほしい

学校の授業に英語のディベートを取り入れてみたら良いと思う。ディベートとはあるテーマについて賛成派と反対派に分かれて議論することだ。最初は難しそうに思うかもしれないが、何回もやっていると慣れてきて白熱した議論をすることが出来る。

私は英語のディベート大会に出場した。簡単な単語や文法しか知らなかったけれど、自分の意見を伝えることが出来た。ぜひ学校の授業でも取り入れてほしい!!(Kako・2年)

アウトプットの機会が少ない

英語の授業で不満なところは、アウトプットの機会がないことだ。私が今年度履修している授業は「コミュニケーション英語Ⅱ」のはずなのだが、この1年間、教育実習生の授業を除いて英語の授業でコミュニケーションをした記憶がない。先生が一方的に文法を解説するだけの授業。時々口を開くことがあっても、CDの音声や先生の言ったことのリピート。授業を受けるだけでは英語を話す力は身に付きそうもない。(M・2年)

 

英作文をしっかり添削してほしい

英語の先生は、書いた英語を添削してくれない。洋書を読んで要約と感想を書く宿題があるのだが、提出してもはんこが押されて返ってくるだけ。「自力で書いていない文章はすぐ分かる」などと言っており、目を通してはいるようである。読んでいるのなら直してほしい。自分の英語が合っているのか間違っているのかも分からない。(M・2年)

 

英米の発音の違いって?

英語の先生は発音にこだわりすぎている。アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いについて延々と解説される。ある程度正しい発音でないと通じないのも確かなのだが、音声学のようなことまでやらなくてもいいのにと思う。

母語が英語ではなく完璧な発音でなくても、英語を話す人は世界にたくさんいる。世界の英語はアメリカ英語とイギリス英語だけではないのである。発音についての細かい話を聞く時間が無駄に感じる。(M・2年)

 

「聞く・話す」ができない

英語の四技能の重要性が叫ばれている今、学校の授業ではやはり、「読む・書く」の二技能しか養われていないと思う。英単語や文法を「覚える」という作業だけでは、全く会話に通用しない。

道を聞かれても答えられない

私が住んでいるのは京都。暑い夏でも寒い冬でも関係なく、観光客で溢れている。特に、私の学校は、有名な観光地のすぐ側にあり、登下校の途中で外国人観光客に道をたずねられることが多々ある。どこに行きたいのかを聞き取り、道を伝えるのは容易ではない。

また、中国や韓国など、母国語が英語でない人でも、綺麗な英語の発音で話しかけてくる。世界的に見ても、日本の教育では「聞く・話す」の能力を養うことが出来ていないと身をもって実感する。(KT・2年)

 

ただ手を動かすだけじゃない授業を

教科書の文章を暗記して、全文暗写することに問題があると思う。頭で英文を覚えたとしても、それがちゃんと言葉で発音できなければ、将来的に使えないと思う。また、私の学校には、英宅ノートというのがある。宿題でB5のノート30行を1週間に6ページ、英語で埋めるものだ。皆ただ手を動かす作業になってしまって、時間の無駄だと思っている。それよりも日本も、英語でディスカッションをする授業を増やすべきだと思う。アメリカに留学した友達によると、アメリカの学校はディスカッションの授業がたくさんあるそうだ。(海月・2年)

必要性を感じられない

59カ国中58位。そんな衝撃的な順位は、スイスの研究教育機関IMDが2011年に発表した世界競争力ランキングにおける、外国語スキルという項目での日本の順位だ。TOEFLスコアも170カ国中145位。今や日本は英語ができない国の代名詞になってしまっている。  

その原因として、筆記重視の教育システムや高校教師のつまらない授業がよくあげられるが、それは決して本質的な理由ではないと思う。中国や韓国だって僕らと同じ授業スタイルだが、彼らの方がよっぽどTOEFLの点数は高いからだ。

他国との違いは英語の必要性に対する意識

では彼らと僕らの違いはなんなのだろう。同年代の中国人と交流してきた経験を踏まえて考えてみると、結局一番大事なのは英語の必要性に対する意識なのではないかと思う。彼らは小さい頃からよく親から英語の大切さを説かれるし、本人にもそういう意識が強い。だから短い学校の授業時間に縛られることなく自主的に勉強し、英語だってできるようになる。

根本的な意識を養うべき

それと対照的に日本の高校生には、「どうせ英語なんて一生使わない」という人がよくいる。学校指導要領にはもちろん「学生を啓発する」などと言う項目はないが、そのことによって英語の必要性を認識しないままの人が多いのではないか。大学入試改革でも英語の外部試験の利用などが注目されているが、そのような表面的な改革よりも、英語学習に対する根本的な意識を養う教育が必要とされているのではないだろうか。(雨宮・2年)

受験対策だけで実用性がない

自分の高校では、コミュニケーション英語と英語表現の授業がある。コミュニケーション英語は読解中心の授業で、英語表現は文法・英作文中心の授業だ。

英語表現では、成績上位と下位で分かれて授業を受けるが、上位の方の先生は、知識がない。教科書の答えを話して終わりみたいな授業になってしまっている。そもそも授業として成り立っていないと思う。下位のクラスの先生のように、解説・予備知識などもしてほしい。

 

海外で会話できない

授業はどうしても受験対策になっている。当たり前だとは思うが、この授業だけで、アメリカやイギリスに行っても、しっかり会話できるかと聞かれたら、疑問が残る。実際自分自身がアメリカに行った時も、会話はとても大変だった。受験対策もそうだが、海外で実際に会話・生活するための事も教えてほしいと思う。(ssy・2年)