巨額の仮想通貨「NEM(ネム)」が外部に流出したことが大きなニュースになっている。でも、何が起きているのか、よく分からない。「仮想通貨」って何なのだろう。

 
【memo】580億円分が流出
仮想通貨交換業者「コインチェック」から580億円相当の「NEM」が1月に盗まれた。被害を受けた顧客は約26万人に上る。詳しいことは分かっていないが、何者かがコインチェックのシステムに侵入し、外部に送金したとみられる。取引は全てネット上に残っているが、口座は匿名でも設けることができるため、犯人を特定することは難しそうだ。

国の管理がない「お金」

Qお金として使えるの?

仮想通貨はインターネット上で取引される〝お金〟のようなものだ。パソコンやスマートフォンを操作して買い物の支払いや送金に使うことができる。ただし、ネット上に電子データの記録は保管されるものの、硬貨やお札といった実態はない。円やドルなど、国の中央銀行が発行して管理する法定通貨と異なり、その価値の裏付けもない。

Qいつからあるの?

「サトシ・ナカモト」と名乗る匿名の人物が2008年に発表した論文を基に「ビットコイン」が作られ、09年から使われ始めた。その後も仮想通貨は次々に作られて現在は千種類以上になっており、NEMもその一つだ。

価値が日々変わる

Q電子マネーとは違う?

ネット上で取引できる点では「Suica(スイカ)」などの電子マネーと似ているが、仕組みは異なる。電子マネーは円など法定通貨を電子化し、データをやりとりすることで決済する。千円分の電子マネーは千円の現金と同じ価値を持ち、変わることはない。しかし、仮想通貨は専用の交換業者を介して法定通貨と交換できるが、交換比率は日々変わり、例えば10倍になることもあるし、逆に10分の1にもなる。

Q手に入れるには?

仮想通貨は交換業者の口座を開けば、誰でも買うことができる。当初は、銀行を利用するより安く容易に海外送金できる利便性から注目を集めたが、価値が高まるに連れて投資利益を目的に買う人が増えており、世界の仮想通貨の時価総額は約77兆円相当ともいわれる。

各国政府は警戒強める

Q安全なの?

売り買いでもうけることを狙った投資マネーのせいで価格は激しく乱高下し、一元的に管理する中央銀行のような主体がないため、不測の事態が起きても保証はなく、損をしても投資家の自己責任だ。また、安全管理体制の不備や、犯罪組織などのマネーロンダリング(資金洗浄)に使われる恐れも指摘されており、各国の金融当局が警戒感を強めている。