私の通う和歌山信愛高校では、SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)アソシエイトの活動の一環として、カンボジアの小学校建設の資金集めや、現状を知ってもらうための活動をしている。カンボジア現地での活動内容を紹介する。(仲村美穂=和歌山信愛高校2年)

 

おせちの絵を描く子どもたち(中央が仲村さん)

カンボジアの子どもたちに最低限の教育を

私の所属する「GAC」は「グローバル・アクティビティー・クラブ」の略称で、SGHアソシエイトプログラムの一環で行っているクラブ活動だ。初めてカンボジアに海外研修に行った先輩たちが、現地で教育支援活動を行っている本校のシスターに会い、「カンボジアの子どもたちに最低限の教育を」という思いにふれて、そのシスターのために何かできることはないかと考えたことが設立のきっかけだ。

活動してまだ3年弱。まだまだ活動を模索している段階だが、学園祭での募金活動からスタートした活動も、現在は外部の団体の方に対して自分たちの活動を支援してもらうために、子どもピースフェスタなどのイベントに参加したり、企業でのプレゼンの機会を持ったりと、少しずつ幅を広げている。

HIV感染者や子どもたちと交流

昨年の12月、3度目のカンボジア海外研修旅行が実施された。もちろんGACの一員である私も、自分自身の五感でカンボジアを感じたい思い、海外研修に応募した。5人という狭き門であったが、何とか選考をクリアし、参加することができた。

カンボジアでは、現地で活躍されている5人の日本人の話をうかがったり、HIV感染者や地雷、枯れ葉剤の影響で体の不自由な方が集まる「平和の村」を訪問したり、現地の幼稚園児、小学生、高校生などと交流を行ったりした。

平和の村に訪問

日本人女性の活動が励みに

私たちの学校はカトリックの女子校で、社会に奉仕、貢献できる女性グローバル人材へと成長してほしいという先生方の思いがあり、今回話をうかがった日本人5人のうち4人が女性だった。4人の活動は、お土産店を経営している方や、パン屋を経営している方などさまざまだ。皆自分のやりたいことに全力を注ぎ、エネルギーにあふれていて、私の目にはキラキラと輝いて映った。

「自分らしさは他人が決めるもの」「失敗することを恐れるよりも、やりたいことができないことの方が怖い」「自分の心がやりたいかどうか、心の声を聞いてほしい」という言葉は、将来に迷う私の心に突き刺さり、励まされた。

世界中を旅して「一番パンが美味しくない」と感じたカンボジアでパン屋を経営する方にインタビュー
カンボジアで働く日本人女性にインタビュー

学ぶことに貪欲な子どもたち

現地の高校生や小学生らとの交流では、日本のお正月を紹介する授業を行ったり、互いの将来の夢についてディスカッションをしたりした。医師になりたいという夢を持つ高校生の「町に住む人でも、やけどをした時冷やすことを知らない」という言葉から、日本とカンボジアの教育における充実度の差を感じた。その一方で、小さな小学生でもキラキラとした瞳で貪欲に新たなことを知ろうとする姿に「学ぶ」ということの原点を見たような気がした。

一般的にカンボジアという国は「貧しい」と思われているかもしれないが、実はそうではないということが、カンボジアでの研修を通して一番強く感じたことだ。私自身も、研修前の事前学習でカンボジアの経済について担当したため、カンボジアは貧しいと感じていた。実際に、内戦の影響で知識人が大量虐殺され、医者や教員などは不足していて、道中ストリートチルドレンにも出会った。

確かにカンボジアは、私たちのようにさまざまな便利なモノに囲まれて生活することはできていないのかもしれない。しかし、現地コーディネーターの方や、道中で出会った人々は、皆おおらかで笑顔にあふれ、人と人との繋がりを大切にする様子は、実はとても豊かなことなのかもしれないと感じた。

現地高校生と交流

必要なのは教育の力

これまで私がGACで行おうとしてきた支援活動は、もしかすると「やってあげる」という上から目線の支援だったかもしれない。自分の価値観だけが全てだというつもりはなかったが、無意識のうちにそうなっていたのだろう。

しかし、カンボジアという国が、自分たちの力で進んでいくためには、教育の力が必要であるという思いは変わらない。今回カンボジアを訪問することで、様々なことに気付かされたそのお礼の気持ちとして、これからのクラブの活動を行いたいと思っている。

小学生、幼稚園生におせち料理について授業