風邪やインフルエンザが流行期を迎えた。風邪にはマスクをつける人は多いが、そもそもマスクに風邪予防の効果はあるのだろうか。牧野記念病院(横浜市)の内科医・建部雄氏さんに、マスクがなぜ風邪を防ぐといわれているのか、正しいマスクのつけ方などを聞いた。

風邪予防は「一応は期待できる」

 

――マスクをしていれば、風邪やインフルエンザは防げるのですか?

結論から言えば、マスクをつけたほうが予防効果は「一応は期待できる」と言えます。風邪やインフルエンザにまだかかっていない人が、マスクをしない状態のままだと冷たく乾燥した外気を吸い込む時間が長くなります。その結果、気道粘膜の免疫が低下してしまうため、風邪やインフルエンザウイルスによる感染・発症を起こしやすくなるのです。

――冷たい外気を吸って免疫が低下することを防ぐということなのですね。

マスクをすることについて、皆さんがしがちな誤解があります。それは「マスクをつけていれば、風邪もインフルエンザも高確率でシャットアウト!」というものです。

実は、マスクの装着をしていたとしても、空気が出入りする隙間はできてしまうため、外気から侵入するインフルエンザウイルスを防ぐ効果は低い。さらに言えば、マスクをすることで口腔(こうくう)周囲の温度・湿度が維持され、気道粘膜の免疫を維持されるから風邪やインフルエンザを防御しているにすぎないのです。

逆に「風邪やインフルエンザウイルスにかかっている人が他の人に感染を広げない」という意味での感染予防の観点からは、飛沫(ひまつ)感染や、空気感染(飛沫核感染)を防ぐという点で「一応は有効」です。

鼻と顎をしっかり覆おう

――マスクの種類は?

マスクは一般的に布製マスク(ガーゼマスク)と不織布(ふしょくふ)マスクの2種類があります。普通、前者は幼稚園~小学校低学年くらいまでの方が多く使用しているのに対し、小学校高学年以上の方や花粉症のお悩みの方が使い捨ての不織布マスクを使用しています。

不織布とは、文字通り織らない布でできたマスクで織ったり、編んだりせず、 熱や機械的圧力などで繊維を結合して作り出されています。

――正しいマスクの使い方を教えてください。

どのタイプのマスクであれ、口だけでなく鼻も顎も可能な限り隙間なく覆うことが基本です。ガーゼマスクにありがちですが、耳に引っ掛けるゴムひもがゆるんでいたり、ガーゼが洗濯で縮んでいたりして、覆うべきそれらの部分がきちんと覆うことができていないのは意味がありません。

また、ガーゼマスクは装着しても風邪やインフルエンザといったウイルスの侵入を遮断できません。ウイルスは細菌よりもさらに小さく、0.1マイクロメートルほど。光学顕微鏡で見ることは不可能で、電子顕微鏡でやっと確認できるくらいなのです。

ウイルスからしてみれば、ガーゼマスクはその繊維が織りなす大きなトンネルを通り過ぎるようなものなのです。

 

――では、ガーゼマスクは使わないほうがよいでしょうか……。

ガーゼマスクの装着が無意味というわけではありません。繰り返しになりますが、ガーゼマスクにせよ、使い捨て不織布マスクにせよ、その装着により口腔周囲の温度・湿度が維持されて気道粘膜の免疫を維持することで風邪やインフルエンザを防御しているにすぎないからです。

一方、使い捨ての不織布マスクの多くは0.1マイクロメートル程のウイルスやその他の病原体粒子をブロックできるように作られています。風邪やインフルエンザ予防の観点で、そのウイルスなどの病原体が口や鼻に到達する確率を少なくするという点では不織布マスクの方が優れています。

使いまわしはダメ 使用したマスクは触れないように

――使い捨てなのに、マスクをずっと使いまわす人がいます。

説明はあまり要らないとは思いますが……、インフルエンザの流行時期に2日以上同じ マスクをつけるとマスクの前面にウイルスが多く付着します。

使いまわしの際、付着したインフルエンザウイルス粒子は、手や顔に付着する可能性が高く、当然ながら感染リスクも上がってしまいます。予防効果を期待するならば、コストはかかりますが、毎日の交換が望ましいと言えます。

使用したマスク本体は触らないようにし、触ってしまった後はしっかりと手を洗いましょう。

建部雄氏さん  たてべ・たけし 京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。