5年に1度開かれる中国共産党の党大会が10月に北京で開かれ、13億人のトップに君臨する習近平・中国共産党総書記(国家主席)は自らの1強体制を盤石にして2期目をスタートさせた。中国の党・国家・軍の権力を掌握するトップはどう決まるのか。

共産党が一党独裁

Q 共産党の党大会とは?

社会主義国家の中国は事実上、共産党の一党独裁で、党機構は全て国家組織と表裏一体にある。党大会は党の路線や幹部人事を決める最も重要な会議で、実質的には国の最高意思決定機関といえる。党大会の決定は次回大会までの中国の基本方針となり、経済や外交、安全保障など各分野の決定に大きな影響を及ぼす。

Q 党と政府が一体とは?

中国には日本の「国会」に相当する全国人民代表大会(全人代)があり、「議員」に当たる代表約3千人は全国の省・自治区・直轄市や香港などから選出。全体会議は年1回開催され、政府活動報告や予算案などを承認するほか、法律を制定・改正する。憲法上は全人代が最高の国家権力機関と規定されているが、実際は共産党の指導下にある。

指導部人事は密室

Q 党幹部をどう決める?

10月の第19回党大会には約8900万人の党員から選ばれた約2300人の代表が出席、この代表の中から中央委員と呼ばれる幹部約200人を新たに選出した。党大会直後の中央委員会第1回総会で指導部を構成する25人の政治局員を選び、その中から最高指導部の政治局常務委員7人が決まった。その序列1位が総書記の習近平氏だ。

ただし、この総会での選出は形式にすぎない。実質的な人選は早い時期から、引退した長老を含む各勢力が水面下で激しい駆け引きを繰り広げる。全て〝密室〟で決まり、その過程が公になることはない。

「習体制」長期政権に

Q 習氏の政権はいつまで?

今回の党大会では、自身の名前を冠した「習氏思想」が党規約に盛り込まれ、習氏は故毛沢東、故鄧小平の両氏に迫る権威と歴史的地位を獲得した。新たに選ばれた政治局常務委員に習氏の後継者とみられた候補は入っておらず、5年後の党大会の後も習氏は引退しないという見方が出てきた。習氏への権威と権力の集中が一層進みそうだ。

 
【習近平氏】
中国の国家主席。共産党総書記、中央軍事委員会主席を務める。1953年6月北京生まれ。2012年の習指導部発足後、腐敗問題で党幹部を次々と摘発し、求心力を高めた。対日姿勢は強硬で、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立や、首相の靖国神社参拝を理由に日本への非難キャンペーンを展開した。