横田めぐみさんが13歳で北朝鮮に拉致されて40年。高齢化の進む家族は節目に当たる今年を「勝負の年」と位置づけているが、解決の糸口すら見いだせずに年末を迎えようとしている。進展のない現状にいらだちが募る。

北朝鮮に下校中に連れ去られる

めぐみさんは1977年11月15日、バドミントン部の練習を終えての帰宅途中に拉致され、船で北朝鮮に連れ去られた。帰国した拉致被害者の曽我ひとみさんらの話によると、めぐみさんは「リュ・ミョンスク」と名付けられ、平壌の「招待所」と呼ばれる住居に住んだ。

78年8月からは、拉致されたばかりの曽我さんと同じ招待所で生活、めぐみさんは「朝鮮語を学べば日本に帰す」と言われ、懸命に勉強していたという。

その後、韓国人拉致被害者と結婚、長女を出産したが、90年代に入って「日本に帰りたい」と繰り返すようになり、精神状態が不安定になったとされる。北朝鮮当局は2002年の日朝首脳会談の際、「めぐみさんが93年3月に自殺した」と主張したが、その後も生存していたとの証言もあり安否は不明のままだ。

冷え込む日朝関係 家族会「救出を」

拉致被害者家族会は今年2月に決めた運動方針で「今年中に被害者全員を救出せよ」と期限を切って政府に解決を求め、安倍晋三首相も解決に向け積極姿勢を何度も強調してきた。しかし北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、首相が北朝鮮への圧力を強化し続けるなど、両国関係は冷え込んだ。北朝鮮は拉致を再調査する特別調査委員会を解体、「拉致問題は解決済み」とする従来の立場に戻っている。

めぐみさんの父、滋さん(85)と母、早紀江さん(81)は記者会見で「私たちはただ、娘を返してほしいだけ」「『めぐみちゃん』と言ってあげたい、1時間でもいいから会いたい」と訴え、「(政府を)信じていて良かったのか」と政府への疑念も漏らした。

トランプ氏、家族と面会

11月に来日したトランプ米大統領は横田早紀江さんら家族会メンバーと面会。大統領は問題解決に向けて、日本政府との連携と協力を強調し「拉致はとても悲しい出来事。(被害者が)母国に戻れるよう尽力したい」と述べた。大統領は、訪日に先立つ国連総会の演説でも拉致問題に言及している。