紅芋の皮から作製した日焼け止めを持つ岸本さん(中央)たち(学校提供)

 沖縄・球陽高校のSS(スーパーサイエンス)生物化学クラブは、紅芋を使った日焼け止めの研究・開発に4月から取り組んでいる。

実験重ね効果突き止め

挑戦したのは、岸本玲奈さん(部長、2年)、下門あいかさん(2年)、仲尾優希さん(1年)の3人。「沖縄の植物に含まれる紫外線吸収物質を人々の暮らしの中に生かせないか」と思い付いたことがきっかけだ。沖縄名産の紅芋の皮から抽出した紫外線吸収物質が、日用品に応用の利く無色透明だったため研究対象に選んだ。「紅芋の皮を化粧品に活用する」という先輩部員と共に行った研究を発展させた。

琉球大学の准教授から日焼け止め効果の測定法などの助言を受けて、実験を重ね、紅芋の皮に含まれる紫外線吸収物質が、紫外線を12時間吸収し続けるデータを得た。紅芋の皮からの抽出物が溶解しやすく、肌触りの良いローションタイプの日焼け止めの開発を本格化させた。

サラサラ感を 材料工夫

他の部員や6月の文化祭の来場者にサンプルを体験してもらい、「塗り心地や香りに問題はないかなどの声を集めました」(岸本さん)。「サラサラ感が足りない」などの意見を元に、製造方法を見直し、日焼け止めに加えていたエタノールの濃度を調整した。

5、6本の紅芋から取り出せる紫外線吸収物質はわずか0.1グラムと微量。研究をまとめたリポートを完成させるまでに約100本の紅芋を使用したという。3人は、10月末の「第14回高校化学グランドコンテスト」(名古屋市立大学など主催)に参加し、研究成果を発表。審査委員長賞に輝いた。岸本さんは「今後は商品・実用化に向けて研究を進めていければ」と話した。(中田宗孝)