勉強法についてのお悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた〝各教科のプロフェッショナル〟の先生方がアドバイスするこのコーナー。第1回は、英作文の勉強のポイントを、駿台予備学校の人気講師・駒橋輝圭先生に教えてもらった。日々の学習の中で、ぜひ意識してみよう。(構成・安永美穂)

今回のお悩み

 
英作文が苦手です。言いたいことを英語で表現できません…。
日本語に惑わされないように注意!
 

駒橋輝圭先生

文型や単語の使い方を意識

まず知っておいてほしいのは、英作文の勉強と文法・語彙の勉強は別々のものではないということ。正しい英文を書くには、そのために必要な文法や単語の用法をきちんと理解しておく必要がある。だから、教科書などで例文が出てきたら、文型や単語・語句の使い方に着目し、その例文のポイントを確実に理解しておこう。「書くときにどう使うのか」を意識して覚えることが、英作文対策につながっていくんだ。

動詞は「文型」もチェック

「書くときに役立つ」文法や単語の覚え方にはコツがある。それは「動詞」「その意味」「その動詞が使われるときの文型」の3つを必ずセットにして覚えること。例えば、 “reach” という動詞は「場所に到達する」という意味では 他動詞で、 “reach the station” 「駅にたどり着く」のようにreach O(目的語)という型で用いるが、「手を伸ばす」という意味では自動詞で、 「何かを取ろうと手を伸ばす」と述べる場合は“reach for his smartphone” 「スマホを取ろうと手を伸ばす」のように “reach for O” という型を用いる。このように、同じ動詞でも意味によって異なる文型になることも少なくないので注意しよう。

文型までしっかり理解しておくと、日本語の「て・に・を・は」の使い方に惑わされて、間違った英文を書いてしまうミスを防ぐことができる。 つまり、上記の「駅『に』たどり着く」の「に」につられて “reach” と “the station” の間に “to” を入れてしまう誤りや、「彼『を』待った」の「を」につられて「待つ」という意味なのにwaitを他動詞で用いてしまうという誤りをしなくなる。英作文では日本語、とりわけ「て・に・を・は」にとらわれず、英語の動詞を正しい型で用い、それを骨格にして英文を組み立てることを心がけよう。

カタカナ語に要注意

日本語の表現に惑わされず、正しい英文を書くには、次の2点も意識してほしい。

1つ目は、カタカナ語として親しみのある言葉ほど、辞書で調べるなどして英語本来の用法をきちんと理解しておくこと。例えば、日本語では「メンタルが弱い」と言うけれど、英語の“mental”は一般的には形容詞として使われる言葉。「チョイス」というカタカナ語が定着しているせいで、動詞なのにchoiceと書いてしまう生徒が多いが、英語の “choice” は名詞で、「選ぶ」という意味の動詞はchooseである。同様に「ロスト」というカタカナ語が定着しているせいで動詞の原形にlostを用いてしまう生徒がいるが、原形はloseでlostは過去形か過去分詞なので気をつけよう。

もう1つは、 日本語のフレーズに複数の解釈がありうる表現については、「どのような状況、あるいはメッセージを伝えたいのか」をよく考えてから英文にすること。例えば、「~らしい」「~だそうだ」という表現を英語に訳す場合、総合的な印象として感じ取ったことであれば “It seems (that) ...” を用いて書くことができ、他者から伝え聞いたことであれば “I hear (that) ...”を用いる。また、本人がそう言っているということを伝えるべき時には “He(またはShe) says (that) ... という表現を用いることになる。日本語を機械的に英語に転換するのではなく、描写するべき内容をよく考えて表現を選ぶことが大切だ。

文法や単語は、単に「覚える」ものではなく、「覚えて使う」ためのもの。実際に書いて使う場面を思い浮かべながらインプットしていくことで、英作文の力を伸ばしていこう。

 

 

【こまはし・てるたか】
駿台予備学校  英語科講師。愛知県出身。東京大学理科一類入学、文学部英語英米文学専修課程卒業。米国ミシンガン州で過ごした中学・高校時代の経験を活かした授業を行う。 音楽、特にロック好きで、趣味はギターと作曲。