森友学園、加計学園、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報をめぐる問題で、公文書管理の在り方が問題になっている。あまり縁のなかった言葉だろうが、「公文書」って何だろうか、そして何のためにあるのだろうか。

防衛省では幹部が処分

Q 何が問題になっているの?

森友学園では国有地売却、加計学園では獣医学部新設計画をめぐって文書や証言が次々に出てきたが、「怪文書」「確認できない」とされ、文書の存在が確認できないことが真相解明の障害となった。南スーダンPKOでは現地部隊が作成した日報が実際には保存されていたにもかかわらず「破棄済み」として隠蔽(いんぺい)され、当時の稲田朋美防衛相は引責辞任、前事務次官ら5人が懲戒処分を受けた。
 

文書管理の指針に不備

Q 文書管理のルールは?

行政機関が保存・管理する公的な記録を公文書という。一連の問題は、公文書の保存期間などを判断するガイドライン(指針)の不備が露呈したものだ。公文書管理法は公文書を「国民共有の知的資源」とした上で「国民に説明される義務が全うされるようにする」と定めている。国民が政府をチェックできることは民主主義の重要な基盤であり、国民の「知る権利」に関わるものだ。
 

公開請求、誰でも可能

Q 国民がチェックする方法は?

2001年から「情報公開制度」が施行された。行政機関が保有する行政文書を公開し、全ての人に情報公開請求の権利を与える制度だ。組織として保存する文書全てが公開対象だが、個人情報や国の安全、外交上の不利益になる情報などは非公開扱いを認めている。

文書が非公開となった場合、請求者は不服申し立てが可能で、第三者機関の情報公開審査会で審理され、裁判所に決定の取り消しを求める訴訟も起こせる。だが、文書の大半が黒く塗りつぶされて開示されたり、開示自体を拒否されたりするケースもあり、請求者からは「不開示の範囲が広すぎる」との批判がある。

Q これからの課題は?

文書の扱いは各省庁の扱いに任されており、保存期間を「1年未満」とすれば、今回のように各省庁の判断で破棄できる。政府は有識者らの議論を踏まえ、年内に公文書管理のガイドラインを見直す。有識者委員会は1年未満の文書の範囲や破棄する場合の責任の所在を明確化する方向だ。