仲間を信じて支え合い、メンバー全員で優勝をつかんだ岐阜高校

理科や数学などの知識と技能を競う「第6回科学の甲子園全国大会」(科学技術振興機構主催)が3月17日から20日まで、茨城県つくば市で開催され、岐阜 県の岐阜高校が初優勝した。今大会は過去最多の682校8244人がエントリーし、予選を通過した47校361人が全国大会で競った。同校は第1回から毎 年全国大会へ出場している強豪校だ。(文・中田宗孝、写真・田部翔太)

放課後は毎日ロボット作り

岐阜高校は、希望者の中から教員が選抜した全員2年生の8人のチームで全国大会に臨んだ。キャプテンの高島優君は「個々のメンバーの苦手な分野を、誰かが自然にフォローし合える『カバー力』がチームの強み」と、勝因を振り返る。

全国大会は、筆記競技と3種目の実技競技の総合成績で順位が決まる。同校は、筆記競技のための勉強会として、数学の国際大会である数学五輪の過去問題に取り組んだ。化学が得意な高島君、生物学が得意な高井万葉君が教える役となり、チームの学力アップに貢献した。

実技競技の対策は、科学実験に慣れている自然科学部の高井君と豊田将宏君が中心に動いた。1月末から放課後はほぼ毎日、休日も集まり実技競技の課題である四足歩行ロボットの制作に没頭。行き詰まった時は、桐原聖子さんの陽気なトークが場を和ませた。

優勝が決まり、喜び抱き合う高島君(手前右)と坂本君(手前左)

ロボットの不具合を解決

本番前に四足歩行ロボットの電力部分に不具合が見つかったが、培ってきたチームワークとカバー力を発揮。発電に必要な水を入れるタイミングなどを微調整して好条件の機体に仕上げ直した。結果、実技競技の1つで1位となり、優勝を大きく引き寄せた。

優勝が決まった瞬間、坂本啓太朗君は涙を流して喜んだ。坂本君と高島君は、小学校からの幼なじみで、学力テストの順位を常に競ってきた関係という。「いつも高島君と切磋琢磨してきた。今回は協力して優勝できたことが本当にうれしい」(坂本君)

同校は、5月に米国で開催される高校生の科学競技会「サイエンス・オリンピアド」に親善チームとして参加する。

時間内に四足歩行ロボットを作り、走行タイムを競う競技に取り組む岐阜高校の生徒たち(科学技術振興機構(JST)提供)
君だけのテーマの見つけ方

第6回科学の甲子園で、第一線で活躍する研究者から科学研究を行う高校生にメッセージが送られた。※顔写真は科学技術振興機構(JST)提供

 強みを生かそう

 

細野秀雄教授(東京工業大学 )

研究テーマは一生をかけて探すもの。皆さんは「若さ」という強みを持っています。まずは得意分野が何かを探り、その強みの生かし方を考えて。私はテレビや スマホの画質を向上させる有機ELディスプレイを開発しました。同じテーマを持った研究者は世界中に大勢いました。プロの研究は、厳しい競争の世界である ことも伝えておきます。

 

 まず直感を信じて

 

飛龍志津子准教授(同志社大学)

私は今、コウモリが研究テーマです。「コウモリって面白そう!」と、無邪気な子どものように、直感で思いついたことが研究のきっかけだったりするんです。自分の直感をまず信じて。

 

 テーマは変わり続ける

 

繁富香織特任准教授(北海道大学)

折り紙を折るように細胞を操り、再生医療に役立てないかと日々研究しています。テーマは変わり続けるもの。自分のテーマが途中で変わっても挫折と思わずに、思わぬ方向に広がったと前向きに考えてみて。

 

 自分を見つめ直そう 
 

 

青野真士特任准教授(東京工業大学)

テーマが見つからないときは、誰かの意見を頼りにするのではなく、自分を見つめ直して「何が好きなのか、苦手なのか」と、自分の気持ちに正直になってみてください。すると、自分の中から湧き上がるものが、きっと出てきます。

入賞一覧(総合成績のみ)
 優勝 岐阜・岐阜高校▽2位 奈良・東大寺学園高校▽3位 愛知・海陽中等教育学校▽4位 兵庫・灘高校▽5位 神奈川・栄光学園高校▽6位 茨城・江戸川学園取手高校▽ 7位 徳島・徳島市立高校▽8位 東京・筑波大学附属駒場高校▽9位 千葉・渋谷教育学園幕張高校▽10位 大阪・大阪星光学院高校