7月28日から8月2日まであづま総合体育館(福島)を中心に開催された全国高校総合体育大会(インターハイ)バスケットボール競技男子は、福岡大大濠(福岡)の優勝で閉幕した。今大会でキラリと輝く活躍を見せた選手を5人ピックアップする。(文・写真 青木美帆)

中田嵩基 圧倒的なリーダーシップ

中田嵩基(福岡大大濠)

●中田嵩基(なかた・しゅうき=福岡大大濠2年)

2年生ながらインターハイ優勝の大きな原動力として活躍したポイントガード。圧倒的なリーダーシップを備え、3年生をも強い言葉で鼓舞し続けた。決勝の明成(宮城)戦では3ポイントシュートが絶不調だったが、「点数は取れなくても試合の流れをしっかりつかめる選手を置いておきたかった」と片峯聡太コーチは長くコートに出し続けた。

「FIBA U19世界バスケットボールワールドカップ」に唯一の高校生として参加するなど、その実力は誰もが認めるところ。しかし「準決勝、決勝で勝てたのはすべて3年生のおかげ。(下級生は)それに乗っかった感じです」と謙虚な姿勢で大会を振り返った。

祝俊成 ドリブルとパスのテクニックで注目

帝京長岡の祝俊成

●祝俊成(ほうり・としなり=新潟・帝京長岡3年)

抜群のドリブルとパスのテクニックで、今大会多くの注目を集めた選手。離島の佐渡出身で、中学時代に県選抜の経験はなし。県大会に出られるか出られないかというチームでプレーしていたが、「当時からコートでひときわ目立つ存在だった」と柴田勲コーチは話す。

準決勝の福岡大大濠戦は、4度の延長戦の末に敗れた。多くのチームメートたちが泣き崩れる中、祝は厳しい表情を一切崩さなかった。「3位でも全然満足していない。金メダルしか欲しくないんで」。冬の選抜では、得点面でのけん引にも期待したい。

深渡瀬海 長身から繰り出すアウトサイドプレー

広島皆実の深渡瀬海

●深渡瀬海(ふかわたせ・かい=広島・広島皆実3年)

191センチの身長を持ちながら、アウトサイドでのプレーが抜群にうまい選手。話を聞くと、中学3年時の身長は178センチ。「普通に外からシュートを打つポジションの選手だったんです」と説明した。

藤井貴康コーチの就任以来初のベスト8に進出。準々決勝では前大会優勝の福岡第一(福岡)を相手に主導権を握ったが、最終ピリオドで一気に逆転された。エースの深渡瀬は仲間たちからボールを集められたが、その多くを決め切れなかった。「絶対に決めてやろうとアタックしたけれど、実力不足で…。冬は確実な得点力を身につけて、もっと上のレベルで戦えるようになります」とリベンジを誓った。

坂本聖芽 ブルドーザーのようなドライブ

中部大第一の坂本聖芽

●坂本聖芽(さかもと・せいが=愛知・中部大第一3年)

細身ながら体と脚が強く、ブルドーザーを想起させるようなドライブでディフェンスを貫く。シューターの星野京介とともにチームの二枚看板として、大会序盤では大いに暴れた。

大一番となった準々決勝の福岡大大濠戦では密着マークを受けた。15得点を稼いだものの、チームや自身の持ち味とは大きくかけ離れたプレー。「1対5で戦ってしまった」と話し、自身のふがいなさに思わず涙が出た。

体を鍛え直すこと、状況判断をして周りを生かすこと。冬に向けた課題は明確だ。一皮むけた姿を楽しみにしたい。

二上耀 柔らかくしなやか、巧みにシュート

北陸の二上耀

●二上耀(ふたがみ・ひかる=福井・北陸3年)

今大会は2回戦で姿を消したが、上位の試合でのプレーを見たかった選手の1人。190センチの長身を巧みにコントロールし、狭いスペースにスルリと入り込んでシュートを決める。柔らかくしなやか。美しい動きが特徴的な存在だ。

昨年のウインターカップでも目を見張るような活躍を見せたが、自身をエースと自覚するようになったのは新チームになってから。敗れた桜丘(愛知)戦では25得点を稼いだが、「もっと自分がやらないといけなかった」と悔やみつつ、キャプテンとしてのリーダーシップも今年のウインターカップへの課題に挙げた。

「自分は自己主張があまりないタイプ。もっとまわりに『思い切り打っていいよ』と言って、チームを引っ張って行けるようになりたいです」