桜丘のエースを抑え、自身も24得点と活躍した松下裕汰(3年)

全国高校総合体育大会(インターハイ)バスケットボール競技は7月30日、あづま総合体育館(福島)などで男女3回戦が行われ、男子の飛龍(静岡)は桜丘(愛知)に82-68で勝利、ベスト8進出を果たした。前日には、関東大会王者の市船橋(千葉)を破っており、今大会の「台風の目」として暴れまわっている。(文・写真 青木美帆)

市船橋を守備で封じる

市船橋は練習試合で30点差をつけられ敗れた相手。組み合わせが決まった時から、チームは市船橋を倒すことだけを考えてきた。市船橋の好シューターたちを執拗な守備で封じ、52-48で見事目標を達成。対戦相手として勝ち上がってきたのが、北陸(福井)を倒した桜丘だった。

飛龍は桜丘と6月の東海大会準決勝で対戦し、71-75で敗れている。残り約3分で逆転されたこの試合は、選手たちの胸に大きな悔いを残した。この日の試合後、「(市船橋を倒した)達成感で今日の試合はうまくいかないと思っていたけれど、相手が桜丘だったのがよかった。(6月の)悔しい負けが(今日の)モチベーションになりました」と原田裕作コーチは振り返り、伊東潤司主将も「リベンジしてやるぞという気持ちだけでした」と続けた。

体の強さと速いパス回しで桜丘を攻略

主力に190センチ台は不在。全国上位で戦うには小柄だが、原田コーチが「正直、自信がある」と胸を張る体の強さを生かして積極的にボディコンタクトし、こぼれたボールを拾い、走る。加えて、全員がポイントガードのようにボールを操れるという強みを生かして、桜丘の「伝家の宝刀」とも言える変則的なディフェンスを、速いパス回しから攻略した。

味方がリバウンドでつないだシュートを見事に沈め、ガッツポーズを見せる伊東潤司主将

第3ピリオド開始早々に連続得点で畳みかけ、「これはいけるぞと思いました」(伊東)。最後まで安定した試合運びでタイムアップを迎えた。

今年のチームの目標は全国ベスト8。一つ目の全国大会となるインターハイで、さっそく達成してしまった。準々決勝の対戦相手はこれまで練習試合を含めて対戦経験のない明成(宮城)。伊東は「相手は格上。常にチャレンジャーの気持ちをもって、思い切り戦いたいです」と抱負を語った。