各部門で優勝した生徒たち

放送部などで活動する高校生が作品制作やアナウンスなどで日本一を目指す第64回NHK杯全国高校放送コンテスト(全国放送教育研究会連盟、NHK主催)の全国大会が7月25日から27日まで行われ、6部門の優勝者・優勝校が決まった。(文・写真 野村麻里子)

コンテストはアナウンス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、創作テレビドラマ、創作ラジオドラマの6部門で実施された。都道府県大会には1677校1万6293人が参加し、勝ち抜いた543校が全国大会に進んだ。

ブラジルで日本の文化を伝えた生徒を紹介

アナウンス部門で優勝したのは、廣瀬久実さん(山梨学院高校3年)。ブラジル・サンパウロを訪れて、日本文化を伝えようと現地の人に和紙制作や習字を体験してもらった同校生徒の活動を伝える自作原稿を読み上げた。
 朗読部門では、成松海悠さん(熊本・第一高校3年)が優勝。男子学生がチアリーディングでチームを結成し、全国選手権を目指す様を描いた、「チア男子!!」(朝井リョウ著)の一節を読み上げた。

受け継がれる歌のルーツをたどる

ラジオドキュメント部門で優勝したのは、広島・呉三津田高校の作品「三津田の証」。同校に受け継がれている歌「三津田讃歌」のルーツを探った。歌ができたのは66年前。同窓生や作詞者などにインタビューした。審査員からは「知らなかったことを知られる番組。共学化した時にできた歌で、歌詞にある蝶は女子生徒を表しているなど、新しい発見がある」と評価した。

騒音問題めぐる生徒と住民の対話を伝える

テレビドキュメント部門では、長野・松本深志高校の作品「鼎談深志」が優勝した。吹奏楽部の楽器や応援団の太鼓などの音がうるさいと地域住民から苦情があり、活動が制限される状況を打破すべく、放送委員会と応援団を兼部する生徒が中心となり奮闘する様子を伝えた。音を出す部活で委員会を作り、地域住民との意見交換会を開き、相互理解を目指す様子を描いた。審査員は「マスコミは第三者の目線での番組作りを意識するが、(同校は)自らがコミットする番組作りが新鮮。勉強になった」と評した。

誰かの役に立つことが自分の証明 ドラマで表現

創作ラジオドラマ部門は、富山・南砺福野高校の作品「自分の証明」が優勝した。夜の森の穴に落ちた女。そこにはオカリナを吹く男がいた。二人は他人だが、「この穴で人生の終わりを迎える」という目的は一緒だった。会話を交わす中で、内に秘めた本音をぶつけ合っていく。代表生徒は「誰かの役に立てることが自分の証明につながるということを伝えたい。プロットを40枚書いて作っていった」と話した。

打倒「リア充」 男子生徒の葛藤を描く

創作テレビドラマ部門では、新潟高校の作品「バレンタイン・デイ」が優勝した。主人公の男子生徒は恋人がいない仲間とグループを組み、いわゆる「リア充」を打倒するためにバレンタインデーをめちゃくちゃにしようとチョコレートをどろどろに溶かす作戦を立てる。だが、告白され、彼女ができたことで葛藤する主人公の姿を描く。登場人物のコミカルな演技は会場中の笑いを誘った。

各部門の結果は次の通り(「優秀」以上を掲載、敬称略)

【アナウンス部門】
▽優勝 廣瀬久実(山梨・山梨学院高校3年)
▽準優勝 神尾志桜里(長崎・西陵高校3年)
▽優秀 武藏未侑(岩手・盛岡第一高校2年)、福田あみ(奈良・郡山高校3年)

【朗読部門】
▽優勝 成松海悠(熊本・第一高校3年)
▽準優勝 大石歩夢(長崎・長崎西高校3年)
▽優秀 櫻間郁佳(長崎・長崎東高校3年)、木村太飛(青森・北斗高校2年)

【ラジオドキュメント部門】
▽優勝 広島・呉三津田高校「三津田の証」
▽準優勝 広島・五日市高校「子守唄とハーモニカ」
▽優秀 島根・石見智翠館高校「自分らしく生きる」、愛知・名古屋市立北高校「家族のカタチ」

【テレビドキュメント部門】
▽優勝 長野・松本深志高校「鼎談深志」
▽準優勝 千葉・県立船橋高校「projectG」
▽優秀 青森・青森工業高校「過去の栄光はゴミなのか?」、福島・磐城高校「中野先生」

【創作ラジオドラマ部門】
▽優勝 富山・南砺福野高校「自分の証明」
▽準優勝 兵庫・龍野高校「10分間彼氏」
▽優秀 愛媛・新居浜西高校「これが僕。」

【創作テレビドラマ部門】
▽優勝 新潟・新潟高校「バレンタイン・デイ」
▽準優勝 宮崎・宮崎大宮高校「案内ガール」
▽優秀 鳥取・米子工業高等専門学校「No Light No Act」