創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科 三栖 貴行 准教授 主な研究テーマに、「LEDによる炎の表現手法の研究」「照明光による癒し効果の確認と検討」などがある。

今年4月から新たに看護学部看護学科、工学部臨床工学科を開設し、5学部13学科となった神奈川工科大学。さまざまな特色ある教育プログラムを設置し、社会で活躍できる人材の育成に力を入れている。なかでも専門分野を効率的に学ぶことができる「ユニットプログラム」は同大の大きな魅力のひとつだ。三栖先生に話を聞いた。

 「ユニットプログラム」は、PBL(Project Based Learning)=「課題解決型学習」をさらに発展させた神奈川工科大独自のプログラム。講義・実験科目と企業との連携教育等を融合することにより、専門分野への理解をより深めることができる。

 このプログラムの一例としてホームエレクトロニクス開発学科で実施しているのが「企業連携プロジェクト」だ。

炎のようなLED照明を開発

 さまざまな技術の融合によって完成された家電製品から「ものづくり」を学ぶホームエレクトロニクス開発学科。「製品として既に世の中で販売されている家電を教材として学ぶからこそ、社会で応用可能な幅広い能力が身につきます」と照明工学などが専門の三栖先生は話す。

 ホームエレクトロニクス開発学科の「企業連携プロジェクト」では、2年次よりマナー講座などを含めた実践的な授業を展開。3年次には8〜9つのテーマの中から興味関心に応じて選択できる企業課題にグループで取り組む。

 三栖先生が指導するプロジェクトの学生たちは「大型和風看板照明」の筐体(きょうたい)設計・開発と製作に挑んでいる。新宿御苑で行われていた能の舞台「森の薪能」で実際に使ってもらおうと製作を開始。「純和風のイベントに合う高級感のあるものを」という企業課題に応えるため試行錯誤を重ね、2年目にはLEDが炎のようにゆらぐ2メートル×180センチの看板照明を完成させた。

 これらのプロジェクトで身につくのは専門的な技術に加えて、チームで協力する力、コミュニケーション能力、問題解決力などの社会人基礎力。「納期直前のトラブルなどを乗り越え、学生たちは大きく成長しました。こうしたプロジェクトでは本人も気づいていなかった隠れた能力を発見できるのが醍醐味。それが就職率100%という結果になって現れています」

 PICマイコンとトランジスタ増幅回路による点灯方式は5月に特許を取得。今年は炎の表現をさらに発展させて、地元である厚木市を活性化させるため、LEDキャンドルを応用できるイベントや、厚木市役所の観光振興課との連携などを検討していく予定だ。「夢は東京オリンピックの聖火として『LEDの炎』を使用してもらうことです」

大型和風看板照明とプロジェクトメンバー