政府は12月22日、一般会計総額97兆4547億円の2017年度予算案を閣議決定した。国の基本的な支出(歳出)と収入(歳入)を盛り込む一般会計総額は5年連続で過去最大を更新した。歳出が歳入をはるかに上回っており、借金にあたる国債約34兆円を新たに発行する。国と地方自治体が抱える借金の残高は、17年度末に1094兆円に達する見込みだ。

社会保障費の増大続く
新たな借金34兆円

 Q  なぜ過去最大の予算に?

 高齢化が進んで医療や介護サービス、年金の支払いに充てる「社会保障費」が年々増大していることが一番の原因として挙げられる。社会保障費は32兆4735億円で、歳出全体の3分の1を占める。

 さらに、自衛隊の活動や装備などに充てる防衛費も過去最大の5兆1251億円。老朽化対策が迫られている道路や橋などインフラ施設の公共事業費が6兆円規模となり、20年の東京五輪・パラリンピックに向けたスポーツ予算や観光庁予算も最大となった。

 Q  生活への影響は?

 社会保障費の増大を抑えようと、高額の医療費が必要な人の自己負担額に上限を設ける制度を見直し、一定以上の所得がある70歳以上の人の上限額が引き上げられる。75歳以上の後期高齢者医療制度では所得が低い人の保険料を軽減する特例が縮小される。40〜64歳が納める介護保険料が収入と連動、大企業の社員は負担が増える可能性がある。

 一方、保育所の整備など手薄だった子育て支援が拡充され、給付型奨学金が創設される。

 Q  借金が多すぎない?

 巨額の歳出に税金(税収)が追いつかない。新規国債発行額、つまり新たな借金は予算の35%超、34兆3698億円にも上っている。金利(利子)を低く抑えることで、前年度をわずかに下回ったが、今後、金利が上がれば借金は膨らむことになる。

 政府は「経済成長すれば借金の返済もしやすくなる」として、景気回復を急ぐ方向だ。しかし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が失速している現状では、高齢化に伴う社会保障費の増加を考えると、19年10月に予定される消費税の増額だけでは足りず、医療や介護サービスの在り方を検討せざるを得なくなるかもしれない。