陸上の七種競技で頭角を現しているのが大野優衣(東京・白梅学園2年)だ。中学4種目から3種目増えたが「中学時代よりいろんな種目ができるようになって楽しい!」と声を弾ませる。七種競技に挑戦して2年目、東京五輪を夢見て、さらなる飛躍を誓う。(文・写真 斉藤健仁)

多くの種目をやりたい

陸上の七種競技の優勝者は「陸上の女王」と称される。1日目は100メートル障害、走り高跳び、砲丸投げ、200メートル、2日目は走り幅跳び、やり投げ、800メートルの計7種目をハードな日程で競う。

「走るのが好きだった」という。中学1年から陸上を始め、「多くの種目がやりたい」と四種競技に挑戦し、3年時に全国大会で優勝。高校は七種競技の強豪・白梅学園に進学する。

高1の日本記録

指導するのは遠藤道男コーチ(66)。指導歴44年のベテランだ。「質より量を大事にする」という遠藤コーチは、毎日、全員にハードルの練習を課している。「スピードと切れで勝負しています」

高校から3種目増えて苦労する選手が多い中、大野は記録を伸ばしている。100メートル障害は1秒以上縮めて13秒54、走り幅跳びも80センチ近く伸び5メートル78センチ、走り高跳びは16センチ伸びて163センチと急成長。昨年8月末の全国高校陸上選抜大会では、七種競技で高校1年の日本新記録も更新(4916点)。「指導が新鮮で的確でした。スピードが全ての種目に生きてくる」と、遠藤コーチに全幅の信頼を置く。

音楽を流しながらハードルを跳ぶ、遠藤コーチが考案した独自の練習

東京五輪に出たい

気分転換は寝ることと風呂に入ること。ビデオで自分や上手な選手をチェックする研究熱心な一面もある。遠藤コーチは「ガッツがある。将来、日本を背負っていく可能性も」と大きな期待をかける。

大野が「良い時期」と見据える東京五輪は4年後。「目の前の目標も大事ですが、できれば出場したい!」と「女王」を目指し、楽しくも忙しい日々を送っている。

【おおの・ゆい】
1999年東京都生まれ。瑞雲中卒。小学校時代は合気道に取り組み、中学1年から陸上を、2年から混成種目(中学は四種競技)を始める。四種競技では中3で全国中学校大会優勝、七種競技では昨年のインターハイ8位入賞、全国高校陸上選抜5位。現在の目標は高校2年生の歴代記録を更新すること。166センチ、52.5キロ
【TEAM DATA】
部員33人(3年12人、2年15人、1年生6人)。「勝ちたい、だから頑張る」を合言葉に掲げる。週6日活動。平日の練習は放課後午後4時から2時間半程度と朝の自主練習。目標は「一人でも多くの選手が関東大会、インターハイに出場すること」。上下関係もあまりなく雰囲気が良い。主将の下田萌香(3年)は「みんなが疲れてきたらファイト!など、声掛けをするようにしています」という。