ヘアメーク・INOMATA、スタイリスト・猪塚慶太

神木隆之介さんの高校時代のポリシーは「楽しいことは待っていてもやってこない」。授業、行事、友達づくりと何事にも挑戦を重ね、毎日を楽しく変えていったという。「エピソードはたくさんあります」と、その一端を笑顔で明かしてくれた。(文・中田宗孝、写真・中村博之)

1年生の終わりの決意

高校時代を「自信を持って楽しかったと言える」と振り返る。だが1年生のころは、授業を受けて帰るだけの毎日に葛藤した。転機は1年生の終わり。「このままだと思い出が残せないし成長もできない。『自ら動いて楽しまないと』と思い立ちました」

それから授業では率先して発言し、修学旅行の委員会に入るなど、学校行事にも積極的に参加した。「退屈な毎日が、イキイキと変わり始めたんです」

初対面の人にも話し掛けるようにすると、友人が大勢できた。「漫画家を志す人、スポーツ選手を目指す人、いろいろな人がいました。価値観が広がり、演技の参考にもなりました」

3年生では学級委員長に立候補。「クラスの意見をまとめたり、生徒と先生の間に立ったり、大変だったけれど楽しかった。片方の意見を聞けば、もう片方から批判されることもあったし、ダメなものをダメと言う勇気も必要でした。時には嫌われ役にもなりました(苦笑)」

思い出になる高校生活を

高校生に伝えたいことを尋ねると、「毎日を全力で楽しんでいる人こそカッコイイと僕は思います」と力を込めた。

「夢や進路に向けて必死で頑張ったり、目標が見つからなくても今を全力で生きたりすることで毎日は楽しくなる。一見カッコ悪いかもしれないけれど、誰もが心の中ではそんな生き方に憧れていると思います」。読者にも「『楽しい高校生活だった』と、思い出にできる毎日を送ってほしい」とエールを送る。

「女子会」が生きた最新作

最新主演作は、声の出演として参加したアニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)。高校生の男女が、夢の中で心と体が入れ替わる物語だ。女の子が中に入っている時の声を出すのに役立ったのが「女子会」体験。「昔から女子会によく呼ばれていて、恋愛相談に乗ることも(笑)。その経験が、女子高校生を演じることに生きました」

自身も新海監督の大ファン。「純粋に誰かを想う気持ちが魅力的に描かれた作品です」と高校生に薦めてくれた。

かみき・りゅうのすけ
1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。99年デビュー。主な出演作に映画「桐島、部活やめるってよ」「バクマン。」など。劇場版アニメ「サマーウォーズ」など声の出演作も多数。2017年公開の映画「3月のライオン」(前後編2部作)に主演する。

『君の名は。』(配給・東宝)
 田舎町に暮らす三葉(みつは)(声・上白石萌音)と、東京で暮らす瀧(声・神木隆之介)。出会うはずのない高校生2人がある日、相手の存在に気付く。それは、互いの心と体が入れ替わる不思議な夢の中だった。8月26日から全国東宝系で公開。