進学する大学を選ぶには、学問分野やカリキュラムはもちろん、授業や研究室の雰囲気や、どんな先生や学生がいるかも知っておきたい。夏休みに多く開催されるオープンキャンパスなどの高校生向け行事は、そのチャンスだ。近年は、国立大学も内容を充実させる傾向にある。2大学を取材し、参加のポイントを探った。 (西健太郎)

訪ねる研究室 事前に目星を
●東京工業大学

東京工業大学は、一昨年まで秋の学園祭に合わせてオープンキャンパスを実施していたが、昨年から夏休みに開催し、内容も拡充。受験生と保護者ら1万2千人以上が来場した。

今年は8月8日に開催する(申し込み不要)。模擬講義を30以上実施するほか、100研究室ほどが公開される。研究室に所属する大学院生らが研究の説明や実験の実演をしてくれる。予約制の研究室ツアーもある。同大アドミッションセンター長の井上剛良教授は「研究室の雰囲気を知り、本物の設備を見てほしい」と高校生に呼び掛ける。

1日のオープンキャンパスで訪ねられる研究室は限られる。「あらかじめ、訪ねたい研究室の目星をつけてきてほしい」と井上教授はアドバイスする。7月上旬には詳しい内容をウェブサイトで公開し、予約制のプログラムの申し込みも始める。

入試や教育内容、学生生活などの個別相談コーナーを設ける。女子向けの講演会も実施し、女子学生の学生生活や卒業後のキャリアについて説明するという。来年から予定している教育改革の説明会も実施する。

学科ごとに異なる雰囲気を知って
●東京大学理学部

東京大学理学部のオープンキャンパスでは女子中高生向けの相談コーナーを設ける(写真は昨年の様子=東京大学理学部提供)

東京大学のオープンキャンパスは8月5・6日に実施する。インターネットからの事前登録が必要で、予約制の企画もある。

企画は、大学全体の企画と学部ごとの企画に分かれる。参加したい学部は事前に決めて、内容を調べておきたい。

このうち理学部は「多くの方に気軽に来場してほしい」とすべての企画を申し込み不要としており、昨年は5千人以上が来場。今年は5日を午後のみの「プレオープン」として、6日を企画が多いメーン開催日と位置付ける。学科ごとに各研究室の内容を大学院生らが説明する。最前線の研究についての講演、学科ごとの相談・質問コーナーのほか、女子中高生向けの相談コーナーもある。

理学部の10学科の研究内容は多彩。例えば「宇宙」を扱う研究は、地球惑星物理学、物理学、天文学など複数の学科にまたがる。「学科の名称だけでは、研究内容がイメージしづらい。オープンキャンパスで内容を知ってもらえたら」と理学部広報室の横山広美准教授。「学科によって先生や学生の気質が全く違う。大学院生と話すことで学科ごとの雰囲気が分かるはず」と話す。

高校生向け行事広がる
大学は、オープンキャンパス以外にも高校生に大学や学問について知ってもらうイベントを増やしている。例えば、東京大理学部は今年の夏休みに、女子中高生向けのイベント「ナットク『理系』at 東大」(申し込み終了)と、特別授業「高校生のための夏休み講座」(8月17・18・20・21日、事前申込制・先着順)を実施する。理学部の高校生向け講座は、春と冬にも実施している。女子中高生向けのイベントは理工系を中心に全国の大学が実施を増やしており、少人数の対話型や合宿型のイベントもある。 
こうしたイベントは、大学全体の高校生向けウェブサイトではなく、学部ごとのサイトで告知されることがある。また、少人数の申込制のイベントは、1〜2カ月前に締め切る場合も。気になる大学・学部のサイトを定期的にチェックする、前年に開催された行事を調べておくなどして、申し込みの機会を逃さないようにしよう。