犬と学ぶユニークな授業に笑顔がはじけた。奈良・山辺高校生物科学科の1年生37 人は、介助犬など社会に貢献できる動物の飼育方法などを学んでいる。(文・写真 坂祐三)

「待て!」「伏せ!」「おいで!」。生徒たちの輪の中には犬。和気あいあいとした授業は、あっという間に時間が過ぎていく。

人なつっこい性格の2頭の雌のラブラドールレトリバーが同高校にやってきたのは昨年5月上旬。当時、生後2カ月の「茶々」と3カ月の「チョコ」。全校生徒の投票で名付けられた2頭は校内で飼育され、生徒たちにかわいがられて、昨年10月から始まった授業の主役となった。

1月30日の3時間目と4時間目に行われたのは、犬の手入れやしつけなど実習編。奈良市内から講師として招かれたドッグスクールのトレーナー、吉原学さんは「犬は人間次第で良くもなるし悪くもなる。人間社会のルールを学べば、人間ときちんと共生できることを学んでほしかった」と話した。授業は「感情豊かに指示を出す」「しっかり褒めてあげる」など、人間の子育てにも通用しそうな内容だった。 

 

 動物と関わる仕事に就きたい

授業を受けた生物科学科1期生の中久保萌果さんと田中葵さんは「授業は本当に楽しいですし、この経験を生かして、将来は動物と関わる仕事をしたい」と口をそろえた。

校内での犬の飼育なども担当している上岡和富先生は「今後も地域とのつながりも含め、発展させていければいいと思っています」と抱負を語っていた。

メモ

1935年に地域の青年の修練場として開かれた「豊農塾」が前身。建学の精神は「開拓魂」。2013年に普通科(学びの開拓コース、生活文化コース)と生物科学科を新設した。ライフル射撃部、馬術部が強豪として有名。