介護補助器具を実際に体験した(学校提供)

深刻な少子高齢化や介護職員の不足など、日本の福祉は問題が山積みだ。どうすれば解決できるのか。そのヒントを探すべく、千葉・松尾高校の2年生5人がこの夏、福祉先進国のスウェーデンで7日間のフィールドワークを行い、高齢者施設や幼稚園などを巡って利用者や職員と触れ合った。

介護施設で働く高校生に驚き

山﨑愛華さんは、看護師や介護職を目指す高校生や大学生がグループホームでアルバイトをしていることを知った。仕事の中心は、利用者と散歩をしたり、一緒にお茶を楽しんだりしてコミュニケーションをとること。「職員は専門性の高い業務に専念でき、高校生は報酬を得ながら介護の知識を得られる。日本でも導入できないか」と考えた。

現在、日本の大学の先生や介護施設の職員らからアドバイスを受けながら、計画を練っている。「当初考えていたアルバイト派遣会社の設立は、利益が出にくいので難しいと指摘された。部活動のように先輩から後輩へ技術や経験を受け継ぐことができて、高校内でアルバイトを募集する仕組みづくりを考えていきたい」(山﨑さん)

スウェーデンでは多彩な介護補助器具を活用している。椎名真規君は、器具を使えば職員の身体的な負担が減らせることを実感したという。「福祉のあり方が日本と全く異なる。施設も明るくホテルのよう。ノーマライゼーション(障害の有無に関わらず平等に生活する社会の実現)の考えが浸透し、一人一人が自立している」と驚いたという。

若い世代に介護の情報伝えたい

一方、蔭山勇太朗君は、現地の学生との議論で介護職に対する偏見がないことを知った。「若い世代に偏りなく、介護の正しい情報を発信することが大切」と考え、今後の研究では介護職員の声を発信する動画を制作してSNSなどで伝えることが目標だ。

(野村麻里子)

2015年にSGH指定。グローバルエイジング(地球規模での高齢化)を地域から考えることを大きなテーマとしている。