答えてくれるのは… 大学問題アナリスト 野澤和範

悩み

僕は文系で、私立大学の文学部を受験する予定です。英語が好きなので外国語系の学科を志望しています。しかし、就職に文学部が不利であるとも聞きます。アナウンサーを目指していますが、なれなかったときに一般企業では文学部生は採用されづらいのでは、と悩んでいます。 (高校3年男子)

回答

まず、文学部の就職先はかなり絞られます。社会科学系学部(法・経・商など)と異なり、社会活動に直結した内容を学ぶことが少ないので、主な就職分野は出版、新聞、放送などのメディア企業や、教員など教育関係に限定されますが、IT産業の発展に伴い、特に前者の業界は縮小しており、求人も減っています。

次に「アナウンサー」職ですが、地方局やBS局など、放送局の数はかなり増えてきました。どの学部からでも応募できますが、希望者が多く、狭き門です。むしろ社会科学系の学部で社会常識を培ったほうが良いでしょう。

現実的なあなたの進路としては、得意の「英語」を生かせる学部を目指すことをお薦めします。同じ「外国語系」でも、文学部と外国語学部では学ぶ内容が異なります。前者は文学作品の解釈や評論が中心となります。英語の運用能力を高めるには、後者の方が適切です。英語力を生かすには最近開設され出した「国際教養学部」が最適です。教養科目を英語で教授しますので、幅広い学問を学ぶとともに英語の実力が付きます。草分けである「国際教養大学(秋田県)」の就職実績は抜群です。早稲田、上智、法政、立命館などの大学でも「国際教養系学部」が誕生しました。英語力のある人はさまざまな業界から求められます。メディアの外国特派員を目指すのも良いでしょう。

【のざわ・かずのり 】
1943年、東京生まれ。武蔵工業大学(現・東京都市大学)で入試広報を担当し、事務長として新学部開設に携わる。2009年退職後は、大学選びについて高校生・保護者への講演・執筆などを行っている。