エラさん(右から3人目)とケイトさん(右から2人目)を囲む高校生記者たち

日本でも幅広い世代から愛されている文学作品「赤毛のアン」が映画化され、現在公開中だ。高校生記者が、アンを演じた高校生の女優エラ・バレンタインさんと、原作者L.M.モンゴメリの孫娘で製作総指揮を執ったケイト・マクドナルド・バトラーさんにインタビュー。エラさんの役作りや人柄、ケイトさんの作品作りへのこだわりを聞いた。(聞き手・須藤亜佑美、平岡亜美、菅谷美羽)

おしゃべりなところが一緒

アン役 エラ・バレンタインさん

原作を忠実に演じた

──主人公アンを演じる時に心掛けていたことは。

これまで「赤毛のアン」はたくさん実写映像化されてきた作品です。つまり、多くの女優がアンを演じてきたことになります。私は他の人が演じたアンをあえて見ないことで、自分が感じたエネルギッシュなアンを演じるようにしました。一つポイントを挙げるなら、原作のアンのキャラクターを忠実に演じることを意識したんです。例えば、「赤毛のアン」の舞台は19世紀なので、セリフはその時代を生きた少女のしゃべり方に変えて演じています。

──エラさん自身がアンと似ているな、と思う部分は。

アンと同じで、普段の私もとってもおしゃべり! 人におしゃべりをさえぎられても自分の言いたいことを最後まで伝えないと気が済まない性格かもしれません(苦笑)。でも、アンみたいに怒りっぽくないですよ(笑)。

──アンは豊かな想像力の持ち主です。エラさんもそうですか。

アンはロマンチックな想像をするけど、私の想像力はもっと現実的。学校のテストが良くできればいいなとか、希望通りの進路に進みたいなとか。かっこいいボーイフレンドが欲しいなんて想像もします(笑)。

撮影所で勉強することも

──普段はどんな学校生活を過ごしていますか。

私はドラマや映画、ミュージカルの授業がある芸術系の高校に通っています。学校は、女優の仕事をより磨くための場所でもあります。好きな教科は英語で、学校の友人たちとの友情も大切にしたいと思っているんです。仕事と学業の両立は大変。女優の仕事が重なったときは、撮影スタジオに家庭教師を呼んで、遅れている分の勉強をしています。

──エラさんが女優を目指したきっかけを教えてください。

ダンスが好きでミュージカル女優に興味を持っていました。ある日、私の暮らすカナダのトロントで女優オーディションが開催されたんです。友人と遊び半分で受けてみたら、合格してしまったんです。それから実際に演技のお仕事を始めてみると、自分にとても合っていることが分かったの。演じる役を通じて自己表現ができる、私がどんな人物なのかを多くの人に知ってもらえることが女優の仕事のやりがいになっています。

──最後に、日本の高校生にメッセージをお願いします。

アンを生み出したL.M.モンゴメリが過ごした時代、女性作家の地位は低く、男性作家と比べても平等とはいえませんでした。そんな中でも「赤毛のアン」という素晴らしい物語を書き上げた彼女に、私は尊敬の気持ちでいっぱいなんです。また、私はアンでもあります。アンとして、日本の高校生の皆さん、女の子がアンの物語を楽しんでくれたらうれしく思います!
(構成・中田宗孝、写真・田部翔太)

 

2001年、カナダ・トロント生まれ。11年に舞台で女優デビュー。主な出演作は、舞台「レ・ミゼラブル」(13年)、映画「白い沈黙」(14年)、「スタンドオフ」(15年)。野生生物の保護に関心を持つ現役高校生。

 

 

脚本家選びにこだわり
製作総指揮・原作者の孫娘 ケイト・マクドナルド・バトラーさん

──映画プロデューサーとして、大切にしたことは。

私が映画で最も大切だと思うのはシナリオ。そのため、良い脚本家を選ぶことが私の重要な仕事になります。

「赤毛のアン」は1本の映画では収まりきらないほどの物語があります。つまり映画用に物語の取捨選択をしないといけません。良い脚本家、シナリオというのは、原作の良さを巧みに選ぶ能力があり、魅力的な物語を描ける人です。

──L.M.モンゴメリはどんな方でしたか。

私が生まれたころには祖母は亡くなっていたので、実際に会ったことはありません。父から、頭脳明晰な人だったと聞いています。ただ賢いだけではなく、文才はもちろん、家族に振る舞う料理はおいしく、花や木など自然の写真を撮るのも上手。庭の手入れも手を抜かない、マルチな才能の持ち主だったそうです。

 

L.M.モンゴメリの孫娘。1994年から祖母の文学作品や遺産の保全と活用のための活動をしている。

 

 

 取材後記 

製作の努力に気付いた

ケイトさんの「思い描く作品のためには努力を惜しまない」という製作総指揮としてのこだわりに魅了されました。製作に携わる人の努力があるからこそ傑作ができると気付きました。モンゴメリは20世紀初期で女性作家が少ない中、アンという芯の強い少女の成長を中心に描きました。感動するだけでなく、女性の強さも感じられる作品だと思います。(須藤亜佑美)

作品に懸ける情熱感じた 

モンゴメリは私にとって「歴史上の人物」でしたが、ケイトさんからエピソードを聞いて「誰かの家族」であったことが伝わってきました。エラさんは、原作のアンに忠実な演技を大切にし、せりふの言い方などの細かい部分まで意識していて、作品に懸ける情熱を感じました。また、普段の勉強や友達関係などの話を聞き、今どきの女子高校生としての一面を知れました。(平岡亜美)

 

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カナダのプリンス・エドワード島で暮らす老兄妹のもとに、一人の赤毛の少女が孤児院から養子としてやってきた。夢見ることと、おしゃべりが大好きな少女の名はアン・シャーリー(エラ・バレンタイン)。老兄妹は、天真らんまんでトラブルメーカーのアンに手を焼くことになるのだが……。配給:シナジー。新宿バルト9ほか全国劇場で公開中。