適度な距離を保ち、猿を観察する班員

餌の時間を察知する?

餌まきの時間が近づくと、1匹の猿がキュンキュンという声を上げ始めた。後に続くように、他の猿も声を上げる。猿はなぜ、餌まきの時間を察知できるのか――。同班は、その声を餌のサツマイモにちなみ「イモコール」と名付け、昨年から謎の解明に向けて研究を続けている。

前班長の砥綿夕里花さん(2年)は「イモコールは最初に複数の場所で始まるので、今はどの個体が最初に鳴き始めるのかを調べています」と話す。なぜその個体なのか、どうやって餌まきの情報を得るのかも同時に調査中。班員一人一人が追跡する個体を決めて、餌をまく前後でどのような行動をとるのかを観察している。「調査は大変ですが、観察するたびに新しい発見があり、とても楽しいです」と笑う。

鳴き声 聞き分けたい

今年から班長になった下郡正嗣君(2年)は、主に音声分析を担当。取材日もボイスレコーダーで猿の鳴き声を収集していた。「集めた鳴き声を分析すると、イモコールの鳴き声は、けんかの時の声や、子が母を呼ぶ時の声とは明らかに違います」(下郡君)

猿の鳴き声は60種類以上あるという。「イモコールの謎を突き止めることが第一目標ですが、将来は猿の鳴き声を聞き分けて、猿の意思が分かるようになりたいですね」と抱負を語る。高崎山という地の利を生かし、高校生らしい感性で研究を続ける。