群馬県立前橋高校の生徒有志30人が3月、英国の名門大学オックスフォード大学とケンブリッジ大学を訪ねる「オックスブリッジ研修」に参加した。単なる語学研修ではなく、異文化に接することで自分の人生を考える「生きざま研修」と位置付けた。その言葉の通り、生徒は8日間の研修で大きく変わって帰ってきた。 (野口涼)

海外学生と話せない!

研修の中心は、海外学生との交流だ。ロンドン市内観光などを終えた3日目、オックスフォード大の学生によるキャンパスツアーに参加した。だが、前橋高校の生徒は「何か話さなければ」と思いながら、なかなか話せない。やっと話しかけても、返ってきた英語が理解できない。「すっかり自信を失い、学生と歓談すべき夕食の席で僕らだけ固まって食べるふがいなさでした」と白石智輝君(3年)。

このまま帰れない

4日目も同じように過ぎ、重い空気になる中、1人の生徒が「このままで帰れるのか」と声を上げた。夜9時、急きょ宿舎の会議室に集合。一人一人が「失敗を恐れて話せない自分」「相手の返事にあたふたしてしまう自分」への腹立たしさ、恥ずかしさを吐き出した。最後に一人ずつ、残りの研修に対する決意表明を行った。

5日目、生徒たちは変わった。外国人の隣に「Here,OK?」と座り、積極的に話しかける。相手の英語が分からなくても「それはこういうことか?」と聞き返し、なんとか会話を続けられるようになった。「一歩踏み込む勇気の問題だと分かりました」と真下奏一君(3年)。

交流を通じて、海外学生が国際的な視野と将来のビジョンを持っていることが分かった。「もっと勉強し、考えないと」(三枝千馬君・3年)、「将来、留学して世界と勝負したい」(新井唯史君・2年)と奮起している。