2024年4月に2つ同時に誕生する千葉工業大学の新学部「情報変革学部」と「未来変革学部」。それぞれの学部・学科に所属する先生に高校生記者が特別に取材した。今回登場するのは、経営とビジネスを科学的に分析する研究を行っている「未来変革科学部 経営デザイン科学科」の白井裕教授だ。

 

企業の価値を高める「経営工学」とは

みなさんは「経営工学」という言葉を知っていますか? 経営工学は、100年以上前からある「経営とビジネスを科学的に分析する学問」です。

科学的な手法は例えば生産システムや物流システムなどといった部分で発揮されるものになります。製造工程のなかで無駄を減らして速度を早め、短時間で製品を生産したり、配送を効率的にするための経路を考えるなどして、企業のサービス向上につなげ、企業の価値を高めていくことが経営工学なのです。経験や勘を頼りにするのでなく、数学的や科学的な方法を用いて課題を解決する方法です。

高校の文化祭のシミュレーションにも役立つかも!?

製造や配送だけではありません。たとえばショッピングモールの火災発生時の避難経路をシミュレーションしたり、行列のできる店やアミューズメント施設のアトラクションで、どれくらいの待ち時間が発生するかという研究もあります。お店やアトラクションの利用時間と、そこに何人到着するのかを計算することで、理論的に「これぐらいの時間待ちますよ」というのが出せるんです。私も過去に、ディズニーランドでどういう経路で回れば効率的かという研究をしたことがあります。朝と夜では待ち時間が変わったり、パレード中はアトラクションが空くなど変動もあるので、そういったことも考慮に入れると、より精緻な研究になると思います。こうした研究は、高校生の文化祭などでも役立てられると思います。

今後、仮想世界と現実世界がどんどん繋がっていきます。経営デザイン科学科では、これまでの学科や研究で培ってきた経営工学の理論や研究を学び、それをベースに情報技術、データサイエンスなどの技術を活用するサイバーフィジカルシステムにより、新たなビジネスや価値を創造することができる能力を身につけてもらいます。未来の社会のために現在の課題を発見しその課題を解決する能力を習得していけると思います。

 
 

海結さん

印象に残ったのはショッピングモールの火災発生時の検証をデジタル上で行うというものです。シミュレーションすることで、物の配置や避難経路を考える仕組みがすごく印象に残りました。自分の高校の文化祭はコロナ禍で一般客を入れた経験がなく、人の動きをどう予測するかが課題でしたが、この仕組みを使えば、どうしたら混雑を緩和できるかを考えられると思い、とても参考になりました。また、白井先生とディズニーの話で盛り上がりました。自分がディズニーが好きなことを打ち明けると先生の目が輝いて沢山のお話をしてくださいました。自分が憧れていたことを全てやられていて、写真を見せてもらったりして距離が近くなり、とても楽しい取材になりました!!

提供:千葉工業大学