水問題の解決に向け、化学を役立てたアイデアを披露する蘆田君(3月19日、SGH甲子園)

水質浄化剤を納豆で作る

無類の納豆好きだという京都・堀川高校の蘆田稜君(3年)。納豆の粘りに含まれる成分を抽出して水質浄化剤を作り、必要な人に送るシステムを考案した。

納豆の粘りとエタノールを混ぜて高速回転させると、水質浄化効果を持つ球形の固形物ができる。蘆田君の実験では、20グラムの納豆から直径数ミリの固形物が4つできた。

この浄化剤は身近な材料から作れて、人体や環境に優しい。蘆田君は「世界に7億5000万人いるといわれている、安全な水を飲めない人のために役立てたい」と言う。NGOが作製キットを準備し、必要としている団体などに届ける仕組みを確立したいと考えている。

一般の人が作製に関わると、浄化剤の品質が一定しない、作れる数が安定しない、など課題はいくつも残る。しかし蘆田君は「水質改善という課題に、個人が金銭ではなく浄化剤を作って送るのは、支援方法として直接的で新しい。実用化を目指して研究を続けたい」と話している。

(文・写真 木和田志乃)