悩み 現代文の勉強法は?

現代文の勉強法が分かりません。授業では、小説の登場人物の心理状況を説明してくれますが、復習はノートを見返すくらいです。評論文は、文章に出てくる用語を覚えることが勉強の中心です。定期試験ではどこが出題されるか分からず焦ります。正直、力がついている気がしません。 (高校2年女子 くるりら)

回答 予習で自分なりに「読み」、授業で修正を(プロ家庭教師 吉永賢一)

現代文の勉強法を考えるときには「そもそも、『読む』とは、どういうことだろうか?」を知ることが大切になる。

例えば、「庭に赤い木が生えていた」という文があったとしよう。この文を読んで、一人一人に絵を描いてもらうと、もちろん、それぞれ違う絵になる。

このとき、各自はどうしてそのような木を描いたのだろう。この文の前後を根拠にしたのなら、「文脈によって」ということになる。しかしそれでも、「唯一の正解」のようなものに達することは、とても難しい。

「木」は物体だけれども、評論文では、「概念」が扱われることが多い。「概念」の解釈もまた、一人一人異なる。つまり、「読む」という行為には、創作が含まれる。文章は、読まれて初めて「意味」を持つ。君が読んで初めて、君にとっての「意味」が現れるんだ。 だからこそ、現代文の勉強では「君がどう読んだか」がとても重要だ。小説文の予習であれば、君なりに登場人物の心情を推測し、それをノートや教科書の欄外に書き込んでおく。評論文では、文中の概念の具体例を作ったり、補足説明をしたり、文章の流れを図式化しておく。

授業では、その「読み」の誤解を正したり、より良いものに高めていく作業をする。「君にとっての意味」を、より価値あるものに高めるための場と考えてほしい。

現代文の先生は、自身の読みや、読むのに役立つ背景知識を提供してくれる。生徒はそれを自分の読みの参考にする。そして、疑問があれば先生に質問をし、自分の読みが正しいか確認したければ、先生やクラスメートと話し合う。

定期試験の対策としては、試験範囲の文章のそれぞれの箇所について、自分なりの「読み」をまとめておき、先生が授業で説明してくれた「読み」がある箇所については、ノートと照らし合わせておこう。新たに疑問が生じたら、先生に質問するといい。

 

よしなが・けんいち 1971年生まれ。東京大学医学部家庭教師研究会代表。群馬県立前橋高等学校卒業、東京大学理科Ⅲ類(医学部)に入学。著書に『東大家庭教師が教える 頭が良くなる勉強法』『東大家庭教師の子供の頭が良くなる教え方』ほか。