システム理工学部 電気電子情報工学科電気機器研究室 大橋 俊介 教授

大橋教授(43)は東京大学在学中からJRリニアモーターカーの数値解析にあたった。様々な状況でどのように動くかをコンピューターで計算。東大大学院を経て1997年から関西大学でリニアモータと超電導と電気機器を研究している。

実験の主軸は超電導体を使った磁気浮上だ。磁石でできたレール1本が約300 万円など、経費と場所の問題で同様の実験を行えるところが昨今少なくなってきているだけに、この研究室の実験装置の存在は大きい。

 

その装置で磁気浮上搬送車が20 ㍉浮く。50 ㌔ほどの重量を乗せることが可能という。例えばトップレベルの騎手やスケートの織田信成選手を乗せられるとは驚きだが、実際に磁気浮上搬送車に触れると不思議な感覚を味わう。磁気浮上搬送車は見えない壁にガッチリと挟まれているかのように安定した状態で宙にとどまっていたのだ。

大橋教授は「浮くというと空気浮上みたいにビヨンビヨンしているかと思われるけれども、けっこう固い。高校生や中学生に評判です。大人も喜びます」と話す。初体験の人が驚く様子には、研究室の学生たちも笑みを浮かべる。

「永久磁石-ハイブリッド磁気浮上搬送システム」は今年度、上野勉さん(M2=大学院2年生)、紙谷有喜さん(M1=同1年生)、山田直輝さん(B4=学部4年生)が手掛けている。

 

電気機器研究室の今後について大橋教授はこう語る。「ふたつの大きな方向性があります。ひとつはエネルギーやコストを度外視して“できないこと”をやる。磁気浮上は、なくても我々は生活できているけれども、あったらいろいろなことができていくかもしれない。そしてもうひとつは今現在に直結するもので、熱電発電などによる省エネです」。

熱電発電は電気自動車のバッテリー問題に寄与する研究で、関西大学社会連携部高大連携センターのホームページ、WEB版模擬講義「電気自動車が省エネ社会を実現する日」で詳しく見ることができる。http://www.kansai-u.ac.jp/koudai/movie/ev/index.html 電気機器研究室の学生数は18 人(B4が7人、M1が4人、M2が7人)。大橋教授は「実験とかものづくりは一番大事です。日本はいいものを作って外国に売ってお金をもらわないと国がなりたたない。それは研究室の学生にも話していますし、授業でも言っています」と、今そして明日を見つめる。日本の理工系の底力を示すときだ。