いくら頑張って勉強しても「言いたいことが言えない」「伝えたいことが書けない」など、英語の悩みを抱えている高校生は多い。数々の英語参考書を手掛け、NHKテレビの英語番組「おとなの基礎英語」の講師としてもおなじみの松本茂先生(立教大学経営学部教授)に、これからのグローバル社会で「使える英語」を身につけるための勉強法を教えてもらった。

【まつもと・しげる】
立教大学経営学部国際経営学科教授、同大学グローバル教育センター長。専門分野はコミュニケーション教育学。主な著書に「速読速聴・英単語」シリーズ(Z会)、「英会話が上手になる英文法」(NHK出版)など。

英語を使う練習を積極的にやろう!

教科書だけでは不十分

──なぜ毎日勉強しているのに「英語が話せない、書けない」など、英語が使いこなせない高校生が多いのでしょうか。

英語で話したり、書いたりできるようになるには、まず聞いたり、読んだりする量を増やすことが大切。教科書1冊分の英文量は、洋書に換算するとせいぜい20〜30ページ程度。この量ではまったく不十分です。

もちろん英語で話したり、書いたりする練習そのものもたくさんして実際に使ってみないと、使いこなせるようにはなりません。

野球部の選手が素振りやトスバッティングを何回もしたところで、練習試合や公式戦で生きた球を打たないと上手にならないのと同じです。

実践の場で英語を使おう

──どうすれば使える英語が身につきますか。

私が命名したのですが、「PICサイクル」を回すことが肝要です。

PとはPractice(個人学習)のこと。実際に授業などでのペアワーク、グループワークの準備として個人の学習をたくさん行ってください。通学途中、休み時間といった「隙間時間」も上手に活用するとよいでしょう。

次のIはInteraction(集団学習)。1人で練習したことをもとに、誰かと英語を使う練習をします。野球部に例えれば、併殺をとる練習や紅白戦がこれにあたります。1人ではできない学習や練習を授業中に積極的に行ってください。

そして最後のCはCommunication(実践)です。通常の教室での授業ではなく、実践の場面で英語を使うことです。海外の高校生とメールのやり取りをしたり、英語のディベート大会に出たり、海外研修先で現地の高校生に向けて英語でプレゼンテーションをするといった体験を数多く積むことが英語上手につながります。