普段はポーカーフェイスの重冨周希も、優勝の喜びに笑顔が大きくはじけた

第47回全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)男子決勝が12月29日に東京体育館で行われ、福岡第一(福岡)が東山(京都)を81-78で破り、11年ぶり2度目の優勝を果たし、全国高校総体(インターハイ)との「夏冬2冠」に輝いた。(文・青木美帆、写真・幡原裕治)

28日に行われた女子決勝に続き、男子決勝もインターハイ決勝の再戦となった。夏は東山が先手をとり福岡第一が後半の猛攻で逆転するという展開だったが、今回は福岡第一が前半からイニシアチブを握り、第2ピリオドに逆転して以降、一度もリードを譲らずに試合終了を迎えた。

第1ピリオドは14-20で東山に先行された。得意 とする早い展開を対策され、本来のリズムで戦えない状況を打開したのが重冨周希、友希(ともに3年)の双子ガードのシュートだった。2人とも、インターハイのときには苦手だったアウトサイドのシュートを今大会に向けて特訓。「相手から入らないと思われていることはわかっていたので、思い切って打ったのがよかったと思います」(重冨周)。相手指揮官が「誤算」と語った2人の得点で、東山に点差を詰めさせなかった。

要所でシュートを沈めた重冨友希だが「走るプレーがあまり出せなかったのが残念」とコメント
苦手としていたアウトサイドシュートを効果的に決め、チーム最多の23得点を決めた重冨周希

東山が誇る大会屈指のポイントゲッターのカロンジ・カボンゴ・パトリック(2年)は蔡錦鈺(3年)とバム・アンゲイ・ジョナサン(2年)が、岡田侑大(3年)は松崎 裕樹(1年)がマーク。加えて土居光(3年)が自分のマークマンを守りながら両選手のカバーディフェンスにも参加するという難しい役割を見事に果たした。

「問答無用」のダッシュでスタミナ培う

今大会は、初戦の中部大学第一(愛知)戦から厳しい戦いをくぐり抜けてきた。特に準決勝の帝京長岡(新潟)戦は再延長にまでもつれる激戦。決勝への疲労も懸念されたが、自慢の脚力への影響はなかったと選手たちは話していた。これは日ごろの練習の賜物だ。練習時間は平日でも3~4時間プラス個人練習。走るメニューも多く、シャトルランは規定記録を超えられなかったら、問答無用でやり直しか追加のダッシュメニューだ。中学時代はスタミナ不足で走るのが苦手だったという土居は、「昔の自分を知っている人から『めっちゃ走るようになったね』と驚かれます」と笑った。

10月の中旬にケガでチームを離脱。必死のリハビリで今大会に間に合わせた土居光
200センチ103キロの体格から柔らかく器用なシュートを量産した蔡錦鈺

福岡第一は初の夏冬2冠を手に入れた。「この1年間、とにかく手を抜かず質のいい練習に取り組んできた。長い練習時間の中でそれぞれが頑張ってきた成果が最後の最後までしっかり出せた決勝になった」と語る井手口孝コーチは、55人の部員全員をたたえた。

スタメン唯一の1年生ながらのびのびしたプレーを見せた松崎裕樹

チームデータ
1994年創部。部員55人(1年生30人、2年生14人、3年生11人)。主な卒業生は並里成、狩野祐介(ともに滋賀レイクスターズ)など。野球部や吹奏楽部も全国レベルの実績を誇る。

ウインターカップで11年ぶりの優勝を達成した福岡第一