1対1の強さとスピードあるドライブで活躍した赤木里帆

第47回全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)女子決勝が12月28日に東京体育館で行われ、桜花学園(愛知)が岐阜女(岐阜)を67-65で破り、2年ぶり21度目の優勝を果たした。(文・青木美帆、写真・幡原裕治)

宿敵・岐阜女と今年4度目の決勝、執念の勝利

東海大会、全国高校総合体育大会(インターハイ)、国民体育大会に引き続き今年4度目となった同一決勝カード。そのいずれも桜花学園に軍配が上がっている。この試合も桜花学園が先行した。しかし大会連覇と、今年のこれまでの大会のリベンジに燃える岐阜女はしぶとかった。ディヤイ・ファトー(3年)や小野佑紀(2年)のインサイドを軸にじわりじわりと詰め寄り、第3ピリオド中盤には逆転に成功。しかし桜花学園は「インターハイでも逆転される場面を経験している。あせらずにやっていけば返せると思っていた」(馬瓜ステファニー主将・3年)と動じない。タイムアウト明けの怒涛の攻めで、一気に9点リードを奪い返した。

チーム最多の25得点を稼ぎ、昨年の無念を晴らした主将の馬瓜ステファニー(右)

第4ピリオド終盤にも2点差まで詰め寄られたが、「ボールをつかんで離さないのが自分の仕事」と言う粟津雪乃(3年)の執念のリバウンドで守り切り、最後は馬瓜が高々とウイニングボールを投げ上げた。

激しく競り合う桜花学園・粟津雪乃(7)と岐阜女・小野佑紀(10)

各自がレベルアップ、取り戻したプライド

昨年の同大会の決勝、桜花学園はインターハイ、国体、選抜の3大会で3連覇する「9冠」を決めるラストゲームで岐阜女に敗れた。主力としてこの敗戦を経験した粟津は「頭が真っ白になって、その後3日間の記憶があまりない」と振り返る。

磨いてきたシュートを武器に要所での活躍が光った佐古瑠美

屈辱の敗北を経験し、選手1人ひとりがレベルアップに燃えた。6得点と振るわなかった馬瓜はアウトサイドからのオフェンスとディフェンスに力を入れ、ボールを回すことへの意識が強かった司令塔の山本麻衣(2年)は、得点力アップのために個人技を磨いた。要所のシュートを確実に決めた佐古瑠美(3年)は、トップリーグで活躍した卒業生に助けられながら、岐阜女のディフェンスに対応したシュートを「何本打ったかわからないくらい」打ち込んできた。「コーチや家族、チームのみんなに支えられてここまでやって来られた」と、試合終了後はコートにしゃがみ込んで涙を流した。

ゲームコントロールだけでなく得点にも積極的にからんだ山本麻衣

スタメン中唯一の2年生の山本は、記者会見の場で堂々と宣言した。「来年はしっかり点差を離して勝ちます」。3冠とプライドを取り戻した高校バスケ界の女王が生み出す、新たな伝説が楽しみだ。

【TEAM DATA】
1955年創部。部員23人(1年生7人、2年生6人、3年生10人)。インターハイで22度、ウインターカップで21度の優勝は、いずれも男女通じて最多。卒業生は、大神雄子(トヨタ自動車)、高田真希(デンソー)、渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)などトップリーグで活躍する選手が多数。
試合終了直後、昨冬のリベンジを達成した喜びに沸く桜花学園の選手たち
閉会式終了後、リラックスした表情で集合写真に写る桜花学園の選手たち