母子健康手帳について研究した4人

大阪教育大学附属高校平野校舎は昨年度、1年生120人が4人ずつの班に分かれて「医療・保健」「防災・減災」「格差・貧困」の3分野の研究に励んだ。班の一つは、乳幼児死亡率の高い開発途上国で母子健康手帳を広める活動をテーマにした。

過酷なお産に驚き

「きっかけは、SGHの授業で、途上国への支援を続ける日本人医師の話を聞いたこと」と話すのは古岡範子さん。母親の妊娠や出産の経過、子どもの健康状態などを記録する母子健康手帳は、日本では第2次大戦後に普及。乳幼児死亡率の低下に大きく寄与したが、途上国ではまだ知られていない地域が多い。

医師の話を聞いた4人は、出産時に竹でへその緒を切るなど、途上国の過酷なお産の環境に驚き、手帳の活用について研究したいと考えた。

自身の手帳も見返した

4人はまず、区役所で現在交付されている手帳を手にし、乳児だった時の自身の手帳と比較。絵や配色が増え、分かりやすく改良されていることを確認した。また、死亡率と手帳の普及率の関連や、途上国での普及活動の現状を調べた。

途上国で普及させるにはどうしたらよいか。4人は、文字が読めない人でも理解できるように絵やイラストを多く使うなど、手帳が広く活用されるためのアイデアを考えた。さらに、父子手帳についても調べた嶺本進君は「男性も育児をする時代。日本の一部の自治体で使われている父子手帳を国内外で広めたい」と話した。

(文・写真 新海美保)

2015年からSGH指定。「いのち」をテーマにグループ単位で研究。近隣の大学や留学生、海外の高校生との議論の場や、アジアにおける海外研修の機会も設けている。