川﨑友嗣教授

[関西大学 社会学部 社会学科 心理学専攻 川﨑友嗣教授]

ヒトの心と行動を
分析する学問

学校や自宅、友人、恋愛関係など、私たちは様々な場面で何かを考え、行動している。そんな人間の心と行動について知るための「心理学」とは、どんな学問なのだろうか。

社会学部の川﨑友嗣教授は、「心理学を学べば、『人の心が分かるようになる』とイメージする人もいるかもしれませんが、そうではありません。人間の意識や行動について仮説を立てて実験・調査し、データに基づいて分析・検証していく実証科学的な学問です」と説明する。

川﨑教授によれば、心理学の特徴は大きく2つに分けられる。1つは、人の意識と行動の一般法則を研究するもので、研究方法は“実験”や“調査”が中心。得られたデータを統計的に処理することで人の心理を解き明かしていく。いわば「こころ」を測る心理学だ。もう1つはデータから導かれた法則や知識を、個々が抱える問題にあてはめ、より深く複雑な人の「こころ」について考える。特に臨床心理学は、一人一人に向き合い支援していくための学問と言える。

「全体の傾向を知ることと個別の課題の両方を扱うのは難しいですが、それが心理学の面白さでもあります。統計学やデータ解析など数字を扱う場面が多いなか、仮説を立てて紐解いていく推理小説のように、何度も思考することで分析力も身に付きます」と強調する川﨑教授。専門家の道に進まずとも、社会に出てから役立つスキルが自然と習得できるのも、心理学を学ぶ魅力の一つだ。

社会学部 社会学科
心理学専攻の5つのプログラム

関西大学の社会学部心理学専攻では、こうした科学的アプローチに必要とされる「データを集めて読み解く力」を高めるために、統計に関する講義科目や実習科目が充実している。心理学の各専門領域に精通する15人の教員が、実習科目と心理学関連科目で多様な授業を展開する。

心理学専攻の学生対象の実践的なプログラムは5つ。臨床心理学の基礎理論と実践的技能の習得を目指す「実践臨床心理学プログラム」、心理テストについて体系的に学ぶ「心理テスト実践学習プログラム」、心理学の調査の設計からデータ収集解析までを体験的に学ぶ「心理学データ解析実践学習プログラム」、将来、企業などでカウンセリングの知識を活用できる「産業カウンセリングプログラム」、キャリアとその支援に関する基礎的・実践的な知識と技術について学ぶ「キャリア教育実践学習プログラム」である。

実習は、個々の興味・関心に応じて実践的に学んでいく。自分の知りたいことを明らかにするためにどのようなデータが必要か、そしてデータをどのように集め、分析し、解釈するかを考えながら、自らの手を動かす。この過程で、心理学を学ぶだけでなく、社会に出てからも応用可能な力が身に付けられる。

また、60以上もある講義科目は、特定の分野に偏ることなく多様。幅広く学びながらも、各分野を専門とする教員のゼミに所属することで興味のある心理学を深く学ぶことができる。

例えば、労働に関する調査や研修事業などを担う日本労働研究機構(現労働政策研究・研修機構)で働いた経験を持つ川﨑教授の専門は「キャリア発達研究」。一人一人が社会とのつながりの中で自分らしく生きていけるよう、生涯のそれぞれの時期に適したキャリア研究とキャリア支援の実践に携わってきた。

そんな現場経験豊富な教授陣のもとで学んだ卒業生の中には、学生時代に取得した「認定心理士」や「教員免許」などの資格を生かして学校教員になった先輩がいる。一人一人の心の問題と向き合うために大学院へ進学後、臨床心理士になった人、家庭裁判所の調査官として活躍する人もいる。データ分析やマーケティングのスキルなどを生かしながら企業で働く人も多い。

 

文学部でも学べる「心理学」

関西大学では、社会学部だけでなく、文学部の心理学専修でも心理学を学ぶことができる。19もの専修がある文学部では、1年次に様々な専修の授業を受けたうえで、自分の興味・関心に応じて、2年次から希望の専修を選択できるカリキュラムがある。心理学以外にも、哲学倫理学、比較宗教学、芸術学美術史、教育学など、人間の「心」に深く関わる学問を学び、「人間とは何か」を総合的に解明する。

 

 

 

 

 

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