沈着冷静に相手の動きを見極めつつ、果敢に攻めて頂点に立った嶺井美穂。ベスト8で敗れた昨年の悔しさを晴らした(写真は準々決勝)

第37回全国高校柔道選手権が3月20、21日に日本武道館(東京)で行われ、初日の個人戦・女子63キロ級は嶺井美穂(神奈川・桐蔭学園3年)が優勝した。リオデジャネイロ五輪出場を目標に掲げる次世代のホープが、実力を存分に見せつけた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

攻めの柔道貫く

決勝は、中学3年から何度も対戦してきた鍋倉那美(愛知・大成3年)との顔合わせ。一本こそ取れなかったものの、休まずに攻め続け、指導1つの差で競り勝った。「決勝の畳に立ち、一番のライバルである鍋倉に勝つことができて良かった」(嶺井)

 準決勝までの4試合中3戦は貫禄の一本勝ち。決まり技も大外刈り、大内刈り、横四方固めと多彩だ。国際大会やシニアの大会でも結果を出している嶺井は、高校生の大会ではマークされる存在。だが「守ったら自分の良さは出ない。常に前に出る気持ちで臨みました」と終始、攻めの柔道を貫いた。

リオ五輪を意識

以前は大一番での勝負強さに欠ける面があり、中学時代から2位が多かった。1年前の同大会はベスト8で敗退。その時の悔しさが嶺井を変えた。

 「それまでは勝ちたいという気持ちが先行して強引に技をかけていたが、今は相手の状況を冷静に見て、得意な技をより生かせるようになりました」

 高校2年時に行われた全国高校総体(インターハイ)、全日本ジュニア、世界ジュニアを制覇。

 昨年11月の講道館杯で優勝したことで、おぼろげだった五輪出場という夢が具体的な目標に変わり、「来年のリオ五輪を意識するようになった」という。同じ階級には強い社会人選手が高い壁となって立ちはだかるが、嶺井は恐れることなく挑んでいくつもりだ。

 優勝候補が前評判通りに勝つ。周囲から見れば順当な結果だが、本人にとっては殊のほか難しい。嶺井は今大会で昨年のリベンジを果たし、自らの進化を証明した。

みねい・みほ
1997年9月16日生まれ、埼玉県出身。埼玉・東松山南中卒。63キロ級。5歳で柔道を始め、全国中学校大会では3年連続2位。2014年はインターハイ、全日本ジュニア、世界ジュニア、講道館杯を制した。得意技は大外刈り。163センチ。